Kiyomi D.

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外国生活30年

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日本は梅雨真っ盛りで、じめじめした日が続いています」
というメールをこの頃良く頂きます。
それに反して、トスカーナは5月からづーっと青空の日が続いています。
トスカーナ日記にも書きましたが、今年はかなりの暑さになっており、少しは雨が降ってくれたらいいのに、と思う日もありますが、まあ7月、8月は夏真っ盛りの時期。暑いのもしかたがありません。

それでも先週は冷たい風が吹き始め、夜には20度を切る温度になり、なおしこんでいた薄い羽根布団を取り出してきたりもしたのですが、その過ごしやすい日も数日前から又この暑さに押しやられてしまいました。
まあ、こんな暑い日には海に行くに限ります。 

さて、7月13日。
私はこの日を決して忘れません。
30年前になる1973年のこの日、私は始めて日本を離れてニューヨークへ旅立って行ったのです。
この日が日曜日だったのかどうか、もう思い出せませんが、両親や従弟、叔父さん達も空港へ見送りに来てくれました。
その時に空港前で父親と一緒に撮った写真が手元にありますが、父親のなんと若い事。30年と言う長い年月が感じられます。

私はニューヨークへの片道切符を手にし、興奮と期待に胸一杯で、1人で外国へ行く不安というものはまったく感じませんでした。
づーっと後になって聞いた事ですが、私の乗った飛行機が飛び立った時、父親は見送り台の手すりを力いっぱい握り締めて泣いていたそうです。
一人娘でしたから、それは大事にしてくれました。
私と仲の良かった母親も大変辛かった事でしょう。
そんな事はちっとも考えないで、私はただひたすら外国へ行くことに興奮してJALの機内に座っていました。
覚えているのは、機内で出た日本食。
小さな「ざるそば」などもついていて、これが最後の日本食かも、と思いながら美味しく食べた事を思い出します。
1ドルが360円の時代でした。

それにしても30年が過ぎてしまったのですね。なんと早い事か。
私自身は30年もの年月が過ぎ去ったとはまったく感じません。
私の精神はまだ若い時のままで、いつの間に30年が私の上を飛び越していったのかしら、なんて気分です。
それでも、この30年の間に、先ず母親が亡くなり、たった1人の弟も亡くなり、そして父親も去年逝ってしまいました。
家族の中ではとうとう私が最後に残ってしまいました。
30年と言う長い年月はこんな事も起こしてしまうのです。

この30年の間、私が住みついた国はいくつあるのでしょうか?
先ずニューヨークのオーバニーと言う大学が沢山ある町。
この時、母親が亡くなったため、1度帰国し、その後住み始めたのがスイス。

数年住んだ後、一緒に居たスイス人と結婚していなかった為、スイスの在住権がないと言うことでドイツへ追放。

スイスには住めない為、イタリアのサルデイニア島へ行き、3年在住。

いったんスイスに帰り、今度はスペインに住居を求めて3ヶ月の自転車の旅に出る。
スペインに3年在住。

同居のスイス人が、スペインに戦争が始まるから(?)日本へ帰ったほうがいと言い始め、まったく帰る気のない私でしたがしかたがなく帰国。
この時、私の日本の家族は私に知らせることなく住居を変更しており、私は日本行きの飛行機に乗りながら、さて、到着したら何処へいったらいいのかしら状態。幸い電話帳で叔父さんを探し出し、家族の住所も発見。

又、数ヶ月後にスイスへ帰り、在住。
スイス人と結婚。

スイス人と離れ、1人でドイツのベルリンに在住。

ベルリンで今の主人、ジョン・クロードに出会う。

彼と一緒にスイスに帰る。

彼の故郷であるフランスに行き1年間在住。

スイスに戻りスイス人と離婚し彼と結婚、銀行勤め。

その間、何度も勤めやアパートを引き払い、いつも1年ほどの旅行へ出かける。
訪れた国、沢山。
インドへは何回も行き、毎回半年から1年の長期滞在。

最後のスイスでは6年間真面目に(!)銀行勤め。

スイスの生活を閉め、イギリスに在住しようかと思うも変更。インドへコンピューターの勉強に1年間行く。

インドからの帰りに、シンガプール、バリ、オーストラリア、フィジ、ハワイ、サンフランシスコ、ニューヨークそして日本へ旅行する。

その後ある計画の為トスカーナに来るが、その計画がなくなり、スイスに帰るのも嫌で、トスカーナ在住を決める。
運良く、トスカーナに住み始めて3年目。
来年は何処に住んでいるのか、まったく予定のない私達。
私の一生はヴァガボンド(さすらい者)で終わりそうです。

私も父親に似て長生きするのかなー?なんて思うこの頃ですが、この30年、普通では出来ない経験を沢山してきましたし、そしてまだ毎日していますので、いつ逝っても悔いはないなー、と思うこの頃です。 「いい生き方をすれば、いい死に方をする」と言う言葉があります。
本当にそうありたいと思っています。

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