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トスカーナ日記

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月27日

日本は梅雨の真っ盛りのようですが、申し訳ないほどこちらはいいお天気が続いています。
真っ青な空が広がり、太陽の下に出ると暑いほどですが、いったん影に入ると湿気がないため吹く風はひんやりし、まるで冷房の入った部屋のよう。
夕方庭で食事をしているとカーデガンを着ないと風邪をひきそうなくらいです。
鳥はちゅんちゅんと一日中さえずり、優しい風が木々を揺らし、遠くまで見渡せるトスカーナの風景は静かに佇み、私の住んでいるこの郊外の家はまるで天国のようです。

先週末は新婚さんのご案内でした。
彼らはミラノから列車でフィレンツェまで到着され、私たちは駅までお迎えに参りました。
日本人の平均休暇日数は1週間と、こちらの人が聞いたら頭を横に振って驚くほど短いのですが、やはりこの新婚さんカップルも結婚式を除いたら旅行は1週間しかないらしく、その1週間の間にイタリア縦断をされるご計画でした。こちらの感覚では信じられないほど忙しい旅ですが、やっと取れた休暇でいろんな所を見たいというのが簡単に旅行に出てこれない方たちのお気持ちなのでしょう。

一般的に男性がなかなか旅行に出る時間が見つけられないようで、定年までは会社優先。自分のことは定年退職してからとなるようです。
日本女性は旅慣れしており、男性はその反対、というのが現実でしょうか。
でも、今回の新婚さんのご主人は学生のときにあちこちと旅行をして回られたようで、イタリアも初めてではないとおっしゃっていました。
もっともっと日本男性に外国へ出ていただきたいですね。
そしてもっと視野を広げていただきたい。
日本から一歩踏み出して、遠くから日本を眺めてみるのもいいものです。
でもそれが出来るようになるには、日本の生活制度が変わらないと無理なのでしょうね。

さて、今回の新婚さんカップルはなんと料理学校で知り合われたそうで、お二人とも料理が大好き。
それで町を歩いていましても、店先に出ている野菜や果物に大変興味を示されていました。
それで、今週の木曜日、私の町に出る朝市に行き、今旬な野菜や果物の写真を撮ってきました。
野菜の写真を撮っているのに、露天市場の人達が前でポーズを取るので仕方がなくスナップ。でも彼女達の笑顔がとても素敵!

やはり夏です。スイカが出ています。私も今年始めてスイカをこの日買いました。
初物ですから、まああまり期待しないほうがいいだろう、と思いながら買ったのですが・・・。
外でちょっと力仕事をして汗をかいてきたジョン・クロードに冷やしたスイカを切って出し、おいしいかと聞きましたら、ちょうど口いっぱいにほおばっていた彼は口が利けず、その代わり目を丸くして「む〜、む〜」と。
ふ〜む、美味しそうだな、と私も食べてみましたが、その美味しかったこと!今年初めてのスイカは大当たりでした。

日本では贈呈用にしか買わないといわれるメロンもたくさん出ています。

1kgの料金が1ユーロ50セントですから、1個が1
kgちょっと超えるほどのメロンは1個約1ユーロ70セントほど。安いですよね!

こちらでたくさん食べていただきたい。

小粒ですが桃も安くなりました。
甘くてジューシーで美味しいです。
洋ナシはもうずいぶん長く朝市に出ており、料金は少し高くなりましたが、まだまだ美味しくて私も毎回買う果物のひとつです。

kgが1ユーロ80セント。先月まで1ユーロ50セントでした。


トマトもだんだんと美味しくなってきました。
でもジョン・クロードは自分の畑のトマトが採れるまで食べないと言っています。彼が育てているのです。
インゲンも今が旬。これも私たちの畑でもうじき収穫があります。
今年畑に植えたのは、トマト、インゲン、ズッキーニ、キャベツ、ニンジン、ピーマン、キューリです。そしてパセリとバジリコも。

ちょっと野菜から話がそれますが、週1回オープンする朝市はこちら郊外に住む人達には格好の社交の場で、特に女性はそれは綺麗におしゃれをしてやってきます。
こちらに来た当時、綺麗にメーキャップをし正装した女性に挨拶をされ、誰だったのか分かるまで時間がかかって大変でした。
ジョン・クロードが一緒にいるときは、よく「誰だっけ?」と聞いたものです。
だって、いつもは畑でノーメーキャップにエプロンをかけている女性が、急に目の上を青く塗り、唇も真っ赤、そして買ったばかりのような洋服に靴を履いているのですから、まだ顔を覚えたてだった人はまるっきり違う人に見えたのです。
やはり女性です。おしゃれは誰でも好きなのです。朝市でもおしゃれが出来る場があるということはいいことです。
露天市場だからとかなりラフな格好で行っていた私ですが、このごろは少しだけおしゃれをしていくようになりました。
だって、皆、履いている靴などをジロッと見るんですから・・。



私は料理をするときには必ずエプロンをします。
エプロンが大好きなのです。
いつからエプロン好きになったのか。
思えば32年ほど前、始めて料理学校に行ったときにしたのが最初だったように思います。
エプロンは義務づかれていたと思います。
それから何年か後に、ドイツやスイスにあるベジタリアンレストランでクックとして働いていたときに大きなエプロンをしていました。
ヨーロッパ人は体格がいいので、小さい私がこちらの人用のエプロンをすると、お尻まですっぽりと囲んでしまいました。
そんな大きなエプロンをした小さな私が、レストランのキッチンにある大きな鍋などをかき回したり、抱えあげたりして、結構タフに働いていました。
 

スイスにあるレストランでは、ある時期お昼のメニューを担当していたときがあります。作るだけではなく、前菜、メインデイッシュ、そしてデザートと毎日のメニューも考えました。1週間分を作り、レストランのオーナーに見せるのですが、夜になると家でせっせと考えていたことを思い出します。懐かしい。
とにかく、キッチンは力仕事の場所です。
それでオーナーがオーストリア人の若いひょうきんな男性をヘルプとして入れてくれたのですが、彼はだいたい朝10時過ぎにならないと来ない人で、その時間には私はほとんど支度を終えており、「あんたはすることが早い!」といつも彼を驚かせていました。
彼は完璧なベジタリアンで、飯や豆腐でアイスクリームを作ろうなんていうアイデアがいっぱいの人で、そこまでベジタリアンでない私を困らせました。

これもあるお昼時、フルーツの入ったカレー・カシミヤを作っていたのですが、昼食のあわただしい前に食事と味見を兼ねてオーナーがそれを取りに来、レストランで食べ始めたのですが、その彼が急にキッチンに飛び込んできました。びっくりしましたとも。どうしたんだろうと思ったら、「こんなに美味しいカレーは初めてだ!」と言ってくれたのです。
ビックリしたのと、嬉しかったので印象が強く、いつまでも覚えています。

エプロンの話です。
一番のお気に入りのエプロンは、金持ちの避暑地で有名なチンクエテーラに旅行したときに買ったエプロンで、白地のコットンの胸の所に鍋とトマトとパスタの模様が色とりどりに刺繍してあるものです。
値段は少し高かったのですが、まあチンクエテーラだしと諦め、それ以上にその大きさと可愛い模様が気に入り購入しました。
でも使ってみると値段が高かった意味がよく分かりました。
コットンは厚みのある良質のもので、首にかけて後ろで結ぶと私の体にフィットします。洗えば洗うほど柔らかくなり、でも刺繍の色は抜けない。
何枚かあるエプロンを交代で使いますが、これの番になるといつも嬉しくなります。

次にお気に入りは、もうずいぶん古くなったのですが、彼からプレゼントしてもらったエプロンです。ブルーと格子の模様が半分づつ入っており、真ん中にはシャンペーンがポンポンとはじいている絵の付いたものです。古いので色がかなり落ちていますが、着ける度に彼からプレゼントしてもらったことを思い出し、素敵な気分になります。

もうひとつかなり大きめのエプロンがあります。
これはスイスの銀行を辞めるときに同僚がプレゼントしてくれたもののひとつで、真っ赤な地に白いエーデルワイスの花がいっぱい付いているものです。スイスの国旗を思い出させます。
このエプロンの生地もかなり厚く、一生使えそうです。使う度にスイスを思い出すことでしょう。
後数枚ありますが、こんな小さなエプロンにもそれぞれの思い出があり、使うたびにホンワカとその時の事が思い出され、炊事をするのが楽しくなります。

とにかくエプロンをするときゅっと身が引き締まるようで、どんな小さな料理にも気持ちがこもります。
朝食の小さなフルーツサラダを作るときでもエプロンをします。それにエプロンをしていると服が汚れません。
私は料理をするときに手を何度も洗いますが、濡れた手をサッと拭くのにエプロンが必要です。
実は、これは最近のことなのですが、風水の本で、エプロンを着けると料理が美味しくなると読んだことがあります。

本当かどうか分かりませんが、私のエプロン好きはずっと変わることはないでしょう。