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トスカーナ日記

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月17日

冬の最後の抵抗でしょうか、寒い日が続いているトスカーナです。
春がすぐ目の前に来ていて、おちおちしていたら春に追いつかれてしまうぞ、と最後の力を振り絞って寒さを巻き散らしているかのようです。
では私も、春が来る前に冬のコートを十分楽しむことにいたしましょう。

2月は1年で1番寒い月だといわれており、その為いつもでしたら12月から2月末までガイドのお仕事はお休みなのですが、お店を経営していらっしゃる方が2月しかお休みが取れないということで、今年は早々にガイドのお仕事がスタートしました。

2月にいらしたのは2組のご夫婦で、最初のご夫妻は、たった25歳で既にレストランの経営をしていらっしゃる絵美さんと久寛さんでした。
7月に結婚式を挙げられて、今回が新婚旅行なのだそうです。
お父様が経営していらした日本レストランを改装されて、今はイタリアンっぽいレストランを経営しているっしゃるそうで、お若いのに頼もしい方たちです。

食べること大好き、ワイン飲むこと大好きなお二人。
特に久寛さんのたべっぷりは見事でした。気持ちがいいくらい。ワイナリー見学をご希望でしたが、冬のため不可能で、その代わりグレーヴェ・イン・キヤンティにある面白いエノテカにご案内しました。
ここはキヤンティの組合がキヤンティワインを世界中の人たちに知ってもらおうとオープンした所で、キヤンティワインをメインに、他にもスーパートスカン、ブルネッロなど通常約400種類のワインが揃っているところです。
ここでは先ずクレディットカードのようなものを購入します。
カードには10ユーロ、15ユーロ、20ユーロとあり、味見したいワインの数や料金を検討してカードを選びます。
カードを使い切らない場合は、残高を返してくれるのが嬉しいところです。

味見の仕方は、ワインがぐるっと輪になって並んでいるテーブルに行き、カードをインサートします。
豆電球が点灯しますので、味見したいワインの上にある電球を押すとグラスの中にワインが流れ込んでくるという具合です。
こういうテーブルが全部で7つほどあり、キヤンテイ・クラシコ、キヤンテイ・クラシコ・リゼルバ、スーパートスカン、ブルネッロ、等種類別に分かれており、その他に、グラッパやヴィンサントのテーブル、そして白ワインは冷蔵庫に入っていて、味見料金とワイン1本の購入料金も明記してあり、とても便利に出来ています。
テーブル上のワインは毎回種類が変わり、行く度に新しいワインが味見できますので、こういうものがぜひ自分の近所にも欲しい、と言われる日本男性(女性も)が沢山いらっしゃいます。
オリーブオイルの味見ができるように各種揃ったテーブルもあります。

ワインは食べ物によって味が変わりますので、ここにはチーズ、そしてサラミ、プロシュートのミニオープンサンドのような物も安く購入できます。

さて、2組目は埼玉で自転車屋さんを経営していらっしゃる登さんとふじ子さんご夫妻です。
登さんご夫婦はイタリア10年計画と言うものを立てられており、最初の5年は北イタリア、そして後半の5年は南イタリアに行こうと計画されているのだそうです。
そのご旅行も今年で3年目。
最初の旅行はツアーで。
2回目の旅行は自分達で計画をした個人旅行。
そして今年はミラノを観光された後、トスカーナを私達のガイドで回られました。

2月は寒いだけではなく、緑のない風景も寂しいもので、閉まってしまうお店も沢山あります。
そんな中、どういう風に楽しい日々を過ごしていただこうかと思っていましたら、
2月はカーニバルの時期で、トスカーナのビアレッジョでもカーニバルがあることを発見しました。

これです。これに行きましょう!

ちょうどお二人をご案内する日がカーニバル最終日で、この日は
5時から始まり、暗くなってから花火も上がると聞いては、ますます興奮してしまうではありませんか。


ビアレッジョのカーニバルを知っていらっしゃる日本人は少ないのではないでしょうか。
ここのカーニバルはイタリアの中でも有名なもののひとつなのです。
TV中継もあります。
マスクをつけて仮想するだけのヴェニスのカーニバルとは様子がずいぶん違います。

「いったいどんな物があるのですか?」と登さんが訊かれますが、「大きな張りぼてのような物が行進するんですよ」としか説明のしようがない私。
まあ、見てくだされば分かります。

と言うことで、午後
2時過ぎ、宿泊先のヴォルテーラを出発し、ヴィアレッジョには3時半ごろに到着しました。
早速
113ユーロの入場料を支払い、カーニバルがパレードする、いつもでしたらブティックが並びそぞろ歩きする人がたくさん通る道路のほうへ入っていきました。


と、そこで突然現れました!
私の言っていた張りぼてが、私達の何十倍の大きさで目の前にドーンと立ちはだかっていました。
「うわっ、大きい!!」
と登さんとふじ子さんは驚きの声。

私はこのカーニバルに来るのは
2回目ですが、それでもこの大きさには本当に驚いてしまいます。

これが全部紙で出来ているなんて信じられないくらいです。
その上、目や腕や足などが動くように出来ているのですから、大したものです。

歩いていると、いろんな動物の格好をした人たちも沢山歩いており、カーニバルの雰囲気がいっぱいです。
豹やライオンの格好をしている人たちは、毛皮で出来たジャンプスーツを着ていて暖かそうです。
若い女性はそれのミニスカート版で、にょっきり長い足を出してブーツを履いています。
適当にセクシーで可愛い。
花模様の洋服にロングへヤーのヒッピー姿の若者達もいて、ちょっぴり懐かしい。

紙吹雪は飛ぶ、変な泡状のものがスプレー缶から飛び散る。
知らない人でもかまわない。この日だけは皆一緒になって楽しむのです。
ドンガドンガ鳴り響く音楽の元、私達もすっかり嬉しくなっていました。
特にライブ音楽をされている登さんにはたまらないようです。

カーニバルのスタートから花火が始まる
8時まで3時間ほどありますので、見晴らしのいい観覧席に私達は席をとることにしました。
1人更に13ユーロを払います。

観覧席に座ると目の前に海が開けていました。
白波を立てて打ち寄せる波をバックにカーニバルが目の前を行進するのです。
なんだか映画のスクリーンを観ているようです。

515分。イタリアらしくスタートが少し遅れましたが、いよいよ2005年、第132回目のヴィアレッジョ・カーニバルの始まりです。
大きな大きな張りぼてと言うか人形を乗せた車が、カラフルに色づけされてゆっくり動き始めました。
音楽が鳴り響き、TVの解説者がしゃべり続け、もう大騒ぎ。
車には派手な衣装を着けた沢山の人も乗っており、音楽を演奏したり踊りを踊ったりして雰囲気を盛り上げます。
観覧席でも、人々がお互い紙吹雪の投げあいをやったりとこの日は大人も子供もありません。

張りぼてを乗せた車の数はいったい何台あったのでしょうか。
多分30台はあったのではないでしょうか。
驚きと楽しさで瞬きするのも忘れて見ている間に、夕日が目の前の海にゆっくりと沈んでいき、空がオレンジ色に染まっていきました。
いよいよカーニバル最終のときです。
すっかり暗くなってから、どの張りぼてが一番良かったか発表があり、そしてすぐに花火が始まりました。
日本の花火に比べるとイタリアの花火は大したことありませんよ、と登さんご夫妻に言っていた私ですが、この言葉は撤回しなければいけません。
ヴィアレッジョの花火はそれは素晴らしいものでした。

少々寒い夜ではありましたが、「あー、面白かった!」と言ってくださったご夫妻の言葉が温かーく響き、10万人は出ていたのではないかと思われる町から驚くほどスムーズに抜け出し、心軽やかに岐路に付きました。

運転手のジョン・クロード、ブラボー!