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トスカーナ日記

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4月15日

4月のお天気は変わりやすいと言いますが、本当にその通りです。
暖かくなったり寒くなったり、落ち着かない気候がまだ続いています。
先週の日曜日と月曜日は女性お二人のガイドだったのですが、それまでのいいお天気が急変し、風雨がこの2日間を直撃しました。
この日は北イタリアで雪が降り、そこから吹いてくる風のそれは冷たかったこと。
手がしびれるほどでした。
ガイドをしていた女性の一人は手袋を買われたほどです。
お二人には太陽の下に輝くトスカーナを見ていただけなくて本当に残念でした。
お天気の善し悪しは私の責任ではありませんが、でもせっかく来てくださる方にはトスカーナの太陽とどこまでも続くなだらかな風景を見ていただきたいのです。

それが、昨日木曜日はカラッと晴れてくれ、料理教室の先生とその生徒さん達8名の楽しいご案内をすることができました。
その内のお一人亜紀子さんは3年前にガイドで5日間ご一緒した方で、昨日は久しぶりの嬉しい再会がありました。
3年前というと、私がガイドを初めて1年ほど経ち、お客様と話をするのに慣れてきたころで、そのころのお客様は強い印象に残っています。
又、亜紀子さんにはその時が初めての海外一人旅だったようで、2ヶ月ほどの旅行が彼女の人生に大きな変化をもたらしたようです。
その旅行中、誰も知らない外国で数日ですが一緒に過ごした私たちの事が彼女の記憶にも強く残っているのだとおっしゃっていました。

人生長いようで短いものですが、その間にいったい何人の人たちに出会うことでしょう。
出会った人達は何かの理由で会うべき人だったのでしょうが、一回切りで別れてしまう人もいれば、なぜか縁があり、2度、3度と会う人もいます。
又、メールでコンタクトが続く人もいます。
そんな人たちは、私の人生にどんな影響を与えてくれるのかしら、なんてふっと思ったりします。
影響を与えることはなくても、きっと前世でも私の周りにいた人なのだ、と思ったりもします。
人生、ミステリアスなのです。

さて、8名の方達はお料理でつながりのある人たちですから、やはり食材には興味がおありで、こちらではペッコリーノチーズを製造しているアグリツーリズモ・リスケットに宿泊されました。
チーズ製造はいつもでしたら朝11時に始まりますが、この日は特別に1時間早く10時に始めてもらい、作りたてのチーズが手で触れるほどの距離で製造の過程を見学しました。
私がイタリア語を訳して伝えたのですが、皆様ちゃんと筆記をされて熱心に見学していらして、日本でチーズを作られているのかしらと思ったほどです。
チーズの作り方は2002年3月2日の日記に書いていますので、ここでリピートはしません。

ここで製造されているチーズの中で皆様に一番人気があったのが、リコッタチーズを焼いた物(テゥリコッタ)です。
チーズを製造中に出てくるシエロという液状の物にはビタミンやミネラルが沢山残っており、それに少しミルクを足して柔らかいリコッタを作りますが、それをひとつずつ焼いた物がこのチーズで、見るからにお菓子のような蒲鉾(かまぼこ)のような。
それを薄切りにして蜂蜜をつけて食べますが、お腹がいっぱいでも入ってしまうほどの美味しい物です。
これを真空パックにした物を皆様お持ち帰りになりました。
勿論ペッコリーノチーズもお買いあげです。

チーズのお買い物もそうそうに、その後3000年の歴史のある町ヴォルテーラに急ぎました。
ここで昼食をとり、その後はワイナリー訪問です。
ヴォルテーラから40分ほどのところにあるワイナリー「ソルバイヤーノ」です。
静かな山間に長い石積みの塀が続き、その中にお屋敷が見えてきます。
糸杉のアプローチに沿ってさらに進んでいくと、そこにワイナリー「ソルバイヤーノ」がありました。
ここは1950年からワイン作りを初め、最初はワインの量り売りをしていたようですが、1980年代から瓶に詰めて販売するようになり、今ではどこのエノテカでも見られるようになりました。
ひんやりとしたカンティーナにはイノックスのコンテイナーとフレンチ樽が並んでいました。

予約していたのはワイナリー見学と3種のワイン試飲、そしてここで生産されているオーガニックのオリーブオイルの味見です。
料金一人8ユーロ。
試飲室にはいると、そこには大きな丸テーブルに真っ白なテーブルクロスがかけられ、グラス、皿、パン、オリーブオイルなどが綺麗にセッティングされていました。
試飲の前に、部屋の外にある大きなテラスから雄大なトスカーナの風景を見てみることにしました。
まず180度に広がる大きな空がわっと目に飛び込んできました。
そしてその下にはずーっと遠くまで続くなだらかな緑の丘のトスカーナ風景が望め、所々雲が影を落としています。
「わーーーっ!!」
そのスケールの大きさにみんな歓声を上げました。
先ずは記念写真です。

試飲は白ワイン2種と赤ワイン1種、それから皆様のご希望でデザートワインのヴィン・サントも味見させてもらいました。
白ワインも赤ワインも美味しかったのですが、 樽に5年熟成させて出てくるここのデザートワインのヴィン・サントはかなり有名で、試飲された皆様が「美味しい!」と言われて買っていらっしゃいました。
半リットルが15ユーロ。日本には出ていません。

ほんのりと頬を赤くされた方もいらっしゃって、楽しい時間はどんどんと過ぎていきます。
残り少ない時間を、今度は又ヴォルテーラに引き返します。
そこではショッピングなのです。
ヴォルテーラにはデザインが素敵で料金は安いという革製品のお店があり、ここにご案内する日本人の旅行者にはとても気に入られています。

ここで、亜紀子さんと少しだけ時間を見つけて逃亡し、主人のジョン・クロードも合体して、バーでコーヒーを飲みながら久しぶりのおしゃべりとなりました。
1時間もない限られた時間の中での久しぶりのお話です。
3年前は英語もできなかった亜紀子さんが、今回はイタリア語を話されるようになっており、ジョン・クロードと初めての会話ができたと、大喜びでした。
彼女は最初の海外旅行がイタリアだったため、イタリアへの思い入れがとても強く、いつでも行けるようにとイタリア語の勉強も続けていらっしゃいます。
思い出話がどんどん出てきて、一瞬彼女は感慨無量で泣いてしまいました。
私ももらい泣き。

半年経ったら今度は又1ヶ月ほどイタリアに来たいと彼女は言っていました。
本当にそうなるといいですね。
又お会いすることがあるでしょう。
その日まで、イタリアの輝く太陽を夢見て、頑張って欲しいと思います。