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トスカーナ日記

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4月23日

こちらトスカーナに来てから、会食をすることが多くなりました。
特にイタリア人は、何か口実を見つけては集まるのが好きで、その家の手料理を楽しみながら、ぺちゃくちゃとおしゃべりをするのです。
10人ほどの集まりになると、あちこちで違った話題に花が咲き、おしゃべりというより騒音に近くなるときもあります。

今週の水曜日は私が大家さんちと友達の家族全員を夕食に招待しました。
私のお誕生日に彼らから(どうしてか?)ドルチェ&ガバーナのセクシーな下着のプレゼントをもらっていたし、家のキッチンシステムが新しくなりましたので、そのお披露目でもありました。
大きな大人(ティーンエイジャーもいれて)が13人も集まり、小さな我が家のリビングルームはいっぱいになりました。

私がイタリア人を招待するとき、作る料理は必ずイタリア料理と決めています。
その理由は、イタリア人は、特に男性はマンマが作ってくれたイタリア料理しか料理と思っておらず、他の国の料理や、違ったスパイスが使ってある料理などは試そうともしないのです。

こちらに来た当時は、珍しいだろうと思い寿司や日本食などを作ってみましたが、女性の方はまあおもしろがって食べるのですが、男性は味見もしてくれず、それ以来イタリア人の友達には決して日本食は作らないようになりました。
日本食以外にも、イタリアには前菜、プリモ、セコンド、ドルチェというようにイタリア式の食事の仕方がありますが、一皿の上にプリモとセコンドとサラダや野菜が一緒に乗っているスイスやドイツ、フランスの食事の仕方とは又違いますので、このような食事も作れません。
こう見てみると、イタリア人は大体にして贅沢なのです。

さて、この水曜日に私が作った夕食のメニューはといいますと、
前菜に、ズッキーニのキッシュ(フリッタータ)とコーンの唐辛子フリッター。
プリモはアスパラガスのリゾット。
セコンドは省いて、その代わりにプロシュートとブレサウラ、リコッタチーズとペッコリーノチーズ。
それにアーティーショック、フレンチビーンズ、クルミの入ったグリーンサラダ。
最後に私の作ったフルーツケーキとお菓子屋さんで買ってきたトルタ・デッラ・ノンナです。

ズッキーニのキッシュはこちらのレストランでも前菜として時々出てきますので、みんな食べてくれましたが、心配していたタイ料理のコーンの唐辛子フリッターは驚くほど好評で、足らなかったほどです。
さて、プリモのアスパラガスのリゾットですが、ここで私はさっそくがっかりさせられました。
まず、友達のマルチェッロは大の偏食家で、パスタはスパゲッティしか食べない、ショートパスタは大嫌いという人で、特に自分のマンマや奥さんの作った料理、それも数種類しか食べないという大変難しい男性なのです。
人はとってもいい人なのですが・・・。
それで、私の作ったリゾットは頭からパス。
最初からそれは分かっていましたので、彼にはスパゲッティのトマトソースかけを用意しました。

困ったのが大家さんちの長女。
パルメジャーノのチーズをそのままでは食べないということは知っていましたが、まさか料理に入れてもだめだ(イタリア人で・・?)、ということを知りませんでしたので、チーズの入ったリゾットを出すと、一口食べて
「チーズが入っているでしょう・・・」、
と食べてくれません。
それならスパゲッティを作ったのに・・、と私。

それだけだったらいいのですが、見ているとティーンエイジャーの次女もアスパラガスを皿の横に押し出しているではないですか!
なんと、アスパラガスが嫌いなよう。
招待客の3人がこれです。
私はかなり落ち込みました。
もう偏食人ばかり。

まあ、他の人たちは美味しいよ、と食べてくれて、実際レモンの少し入ったアスパラガスのリゾットは私には大変美味しかったのですが、かなりがっかりしてしまいました。
でも、そこでまだ終わりではなかったのです。
クルミやアーティーショックの入ったサラダもスイスではよく見かけるもののこちらでは見たことがないらしく、ほんの少ししか食べてくれません。
最後のフルーツケーキの段になり、ティーンエイジャーの次女などは目を輝かせて待っていたのですが、いよいよ食べ始めるとなんだかおかしいのです。
ふ〜む?と様子をうかがっていると、今度はフルーツケーキの中に敷いたクリームに入っているリキュールのグラン・マニエールが駄目なのだとか・・!!
これは長女もそうで、勿論マルチェッロは口にしない。
ほかの女性達もダイエットだと言ってあまり食べない。

あ〜あ、もうかってにしてくれ!
2度とイタリア人は招待しない、と私はジョン・クロードに誓ったのです。
救いだったのは、友達のティーンエイジャーの息子がリゾットからフルーツケーキまで、美味しい、美味しいと言って食べてくれたことです。
フルーツケーキはお代わりもしていました。
食事が終わった頃に商用で夕食会に来ることができなかった大家のダンテが、サルバドールのお客さんと一緒にコーヒーを飲みに寄ってくれたのですが、この二人もデザートワイン片手にわたしのフルーツケーキを美味しいと言って食べてくれました。
この3人がいなければ、私は水曜日の夜はきっと眠れなかったことでしょう。

昨日の金曜日は、海際に住んでいるスイス人宅の夕食に招待されました。
特別な意味の夕食会ではなく、彼女のところへ持って行くものがありましたので、それでは一緒に夕食を、となったのです。
さて、スイス人の夕食はこんなものでした。
まず、プロシュートやサラミ、そしてチーズ、トマトの前菜。
それからショートパスタ・ペンネのアラビアータ。
最後に手作りのリンゴのケーキでした。
イタリア人がプリモの後に食べるチーズなどが、ここでは最初に出てくるところが、スイスらしい。
とにかく、スイス人は、特に夕食にはシンプルな食事をします。

そして、この日曜日に私は別のスイス人夫婦を昼食に招待しています。
彼らは大の日本食ファンで、私が食事に招待すると舌鼓をうちながらやってくるのですが、今回はいいワインがありますので、この日曜日だけは日本食ではなく洋食を作って驚かそうと思っています。
メニューは、
ショートパスタのゴルゴンゾーラソースかけ+クルミと洋なし
子牛のステーキ、グリーンペパーソースかけ+ポテトとグリーンピース
フルーツケーキ 
ワインはブルネッロの10年ものです。う〜〜む、楽しみ!
このスイス人夫婦は二人ともアルコールが大好きな人たちですから、フルーツケーキにも気兼ねなくグラン・マニエールを入れることができるというものです。

どちらにしても、会食でメインなのは料理ではなく、一緒に集まってお話をする事にあるようです。
その話題もイタリア人と別の国の人たちとは内容が違います。
だからこそ、あちこちでの会食が面白いのです。が、一つだけ私には難儀なことがあります。
それは言葉です。
イタリア人とはイタリア語で、あるスイス人とはドイツ語で、別のスイス人とはフランス語、そして別のスイス人とは英語で話しをします。
英語は私の第2母国語のようなもので、話しをしていても何とも感じないのですが、後の3カ国語は未熟なものですから、聞いていても分からないこともあり、又言いたいこともすっと言えなくて困った場合もあります。
わいわいとやっていても時には理解できず、ぽかんとしてしまうこともあるのです。
でも、もうこんな事を30年以上もやっている私です。
言葉の問題くらいで会食に行きたくないなどと思わなくなったのですから大した度胸です。