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トスカーナ日記

3月14日

外は強風が10日以上も吹きまくり、太陽がでていても横なぶりの風に吹かれると気持ちがいいものではなく、地熱暖房の良く効いた暖かい家の中で猫のようにぬくぬくと過ごしている私です。

ちょっと油断をしているとトスカーナ日記の更新がかなり遅れてしまいました。
何か面白いことがあれば直ぐ書くのですが、じっと家にいるものですから大したことも起こらず、起こったとしても既に以前のトスカーナ日記に書いているのでリピートするのも何だし、と更新は気にはしているものの書けなくて・・・。
さすがここ数日気になり始めました。

トスカーナ日記を楽しみに拝読しています、と言うメールを頂く度、頑張って書き続けなければと思うのですが、活動の少ない冬場は本当に書くことがなくて困ります。
一応トスカーナ日記と言う名前ですから私の日常生活ばかりを書くのも好きではなく、それにトスカーナに関することはこの5年でかなり書いてきましたのでリピートになることが多いのです。
勿論トスカーナの歴史に関することは限りなく書くことがあるでしょうが、私は学校にいるときから歴史が嫌いで、なぜ昔の人や出来事を覚えなければいけないのか、そんなもの将来社会に出ても何の役にも立たないのに、と授業中いつも窓の外を眺めていました。
そして今、学校で学んでいたことは実際何の役にもたっていません。
全部忘れていますもの。

ですからどうしてルネッサンスなのか、なんて言うことはプロの本書きの人に任せておいて、私は地元に住んでいる人だけが目にする、経験する出来事をお知らせしたいと思っています。
でも私の住んでいるところは田舎ですからね、本当に静かで何にも起こらないのです。
平和そのもの。
TVや新聞で戦争とか殺人などのニュースを見る度、私は本当に平和なところに住んでいるなあと心底思います。

ついこの間終わったオリンピックにしても、私の周りで話題にする人は誰もいませんでした。
大家さんちでも誰も見ていなかったようです。
こちらで耳にすることと言えば、オリーブの木を又植えよう、去年収穫したワインはもう樽に移し替えたのか、鶏をマーケットで買うのは怖いから自分のところで育てよう、そろそろトマトの種を土にまかないと、なんて生活に密着した話題ばかりです。
そんな土臭い話題を聞きながら家ではPCに向かい世界中のいろんな情報が見られる環境の中で私は生活しています。
今までの人生の中で最高の境遇です。
この状態がいつまで続くか。
そんなことは気にしません。
続く限り続くでしょうし、終わるときには終わるのです。
今はこの状態の中でぬくぬくと過ごすだけ。
あ〜ぁ、天国だぁ。

というところで、一つニュースです。
私の住んでいる街で女性向けのイタリア語基礎コースというものが初めて開かれることになりました。
大家のおばあちゃんが地域新聞のようなものに書かれているのを見つけて、以前からイタリア語の学校へ行きたいと言っていた私に教えてくれたのです。
スイスにいたときにドイツ語の学校へ行き、学校で基礎から学ぶという事は実に役に立つと分かり、イタリア語も出来ればそうしたかったのです。

こちらトスカーナでは私の住んでいるような田舎でも一人暮らしや病気がちのご老人の世話をしてくれる女性を雇う家族が多いのですが、そんな世話をしてくれるのがロシア、ウクライナ、チェコ、アルバニア等から出て来くる女性達です。
こういった女性達は家族を国に残して出てくるのですが、そんなに簡単にイタリアに入れるわけではなく、イタリア国境で何度も足止めをくい、そこで1週間も缶詰状態になったケースも多いとか。
そんな大変な思いをしながらも出てくるのは、自分の国で働くよりもイタリアの家庭に雇われる方がずっとお金になるからでしょう。
そうやって働いたお金はみんな国に送金しています。

さて、このイタリア語基礎コースはそんな他国から出てきたばかりの女性達にイタリア語を学んで貰い、イタリアで快適に過ごしてもらおう(自分のため又ご老人のため)と言うのが趣旨のようです。
一番近いイタリア語の学校がピサにしかなく、行くのを諦めていた私にも自分の街でイタリア語の基礎コースが学べるなんてまったく嬉しいことこの上ないのです。
それも無料です。
地域新聞に書かれていたイタリア語コース登録先に自分で電話をし、早速申し込みました。
そして初めてのミーティングがあると先週連絡が入りました。

ミーティングは市役所であり、そこは中世から市庁舎として使われていた建物なのでしょう、赤い毛氈で飾られたミーティング用の座席が楕円形に並び、天井には美しいフレスコ画が描かれていてさすがイタリアなのです。
12名ほどの希望者が集まり予定時間より30分遅れで始まりました。
前に並んだのは市長と5人の女の先生達です。
先ずは市長のスピーチから。
「皆さん今日はようこそいらっしゃいました。今回はこうやって遠い国から出てきている皆さんにイタリア語を勉強して貰い、皆さんの将来にも役立てて貰いたいとコースを開くことにしました。べらべらべらべら・・・・・・・・」
と普通のスピードでイタリア語をまくし立てます。
次に先生代表の女性が話しを始めましたが、又同じでべらべらべらべらとまるでイタリア人に話しているように話しをするのです。
そこで私は手を挙げました。

「質問があります。私は地域新聞でイタリア語の基礎が学べるコースがあると知りここへ今日やってきたのですが、貴方や(市長を指して)貴方(先生代表の女性を指して)が話すイタリア語を理解できなければいけないのであれば、このコースは私には適していないように思うのです。さあ、今日ここに集まっている人のどれだけが今のお二人の話しを理解できたのでしょうか?」
と訊いてみました。
「ああ、失礼、失礼。それはもう貴方のおっしゃるとおり。こんなにしゃべっちゃあいけなかったですな」と市長があわてました。
先生代表の女性はもう少し落ち着いていて、
「では、ここで誰が今私たちの話したことを理解できませんでしたか?」
と問いました。
もう何年もイタリアで働いているというイタリア語ペラペラのロシア女性は
「私は分かったけど、横にいる叔母とその知り合いはまったく理解できないです」と答え、その前に座っていた3名ほどの女性達も今何が起こっているのかさえまったく理解できないという顔をしていました。

その結果、殆どイタリア語が話せませんという人向けの基礎・文法を学ぶ初級クラスと話は出来るが読み書きが出来ませんという人向けの読み書きを学ぶ上級クラスの2クラスを作ることになりました。
勿論両方に出席してもいいのです。
そして最初のクラスがこの月曜日にあったのです。
教室は街の図書館内にある一部屋。
先生は隣町のヴォルテッラの学校で教師をしているとても感じのいい女性です。

最初のクラスは全員が集まり、先ずはイタリア語のテストから始まりました。
「ぎゃ〜〜〜あ、テストォォォォ!」と参加者の女性達は叫んだり笑ったり、本当に学校のクラスに来ているみたいです。
それぞれの個人にどれだけイタリア語の知識があるかを見るテストで、これは先生がどんな風に教えていったらいいのかと参考にするそうです。
テストは3ページに渡るもので、覚えなければいけない文法の基礎がしっかり詰め込まれていました。
私は自分でイタリア語を少し勉強していましたので間違ったのは5〜6個と言うかなりいい線をいったのですが、これだけでもいい勉強になりました。

今年の5月にイタリア語検定試験があるそうで、それに受かると勿論免状がもらえるわけで、これがロシアなどから来ている女性達がイタリアに入国する際にとても役に立つのです。
仕事も直ぐに見つかります。
それでイタリア語がペラペラ話せても書けない、読めない人もこのコースにやってくるのです。
私も文法をしっかり勉強して、もっと綺麗なイタリア語を話せるように頑張りたいと思います。

話はコロッと変わりますが、昨日新しいPCのスクリーンを買ってもらいました。
以前のものもフラットスクリーンで、なんの不都合もなく使っていたのですが、機械ものの好きなジョン・クロードが新しいスクリーンを見つけてきて、それを買ってあげるというので、まあいいかと買ってもらいました。
やはり新しいスクリーンでは映像がはっきりしていていいのです。
実は、もうそろそろトスカーナ日記の更新をやめようかな、と思っていたところですがこんなに新しいスクリーンを目の前にしたら簡単にやめられなくなりました。
せめてトスカーナ日記が200回になるまで続けようと今のところ思っています。
こちらの方も頑張ります。