Kiyomi D.

ホーム     トスカーナ日記     プロファイル


アンティノリ-バディア・パッシニアーノ

antinori

明日の日曜日はパスクワ(復活祭)で、この日を前後にイタリア人の大移動が始まるといわれており、既に金曜日から高速の渋滞報告がTVで放送されています。パスクワはイタリア人にはクリスマスと同じくらい大事な日で、都会に出ている人達は一斉に帰省します。
パスクワについては2002年の3月31日の日記に詳しく書いていますのでご覧ください。
郊外の道路でもドイツ人、オランダ人、フランス人達の車を沢山見かけるようになり、新緑と共にいよいよトスカーナの時期がやってきたようです。

さて、素晴らしい場所を又発見しました。
キヤンテイにある「Badia a Passignano・バデイア・ア・パッシニアーノ」という所に「アンテイノリ」のワイナリー、カンテイーナがあることを知り、早速電話を入れてみました。
「アンテイノリ」はトスカーナだけではなく、イタリア各地にワイナリーを持つ世界的に有名な、今のオーナー26代目の古いワインメーカーです。
世界のワイン・スペクテーターから最高の評価をもらっているところ故、ここのカンテイーナ訪問は個人客にはとても難しいとされています。
ただ、このBadia a Passignanoだけは、個人客にカンテイーナ訪問をさせる唯一の場所だと聞いたのです。

グレーヴェ・イン・キヤンテイに近いこの場所には、細い舗装されていない道をゆっくりと山の奥へと進んでいきます。
どのくらい走ったでしょうか、急に回りがひらけ、そして見渡す限りのワイン畑が見えてきました。そしてその先に見えるのが「Badia a Passignano」でしょう、お城のようなジグザグのテラスを持つ中世の建物が見えてきました。
あいにくこの日は小雨が降ったり止んだりの日でしたが、うっすらと煙った風景の中に見る「Badia a Passignano」は又なんとも言えない雰囲気をかもし出していました。
「わあーっ、すごーい!」
見渡す限りの葡萄畑と静寂。その素晴らしい景色に圧倒され、しばらく写真撮りに没頭してしまいました。

「Badia a Passignano」は村というよりも9世紀に建てられた古い教会の周りに出来た修道院が立っている所で、寺院までのアプローチの糸杉がそれは古く、その歴史をあらわしています。聞こえるのは鳥の声くらい。
この修道院の回りをぐるっと葡萄畑が囲んでいます。
綺麗に手入れされた葡萄畑は何処までも続き、本当に見事。
おじいさんが一人、オリーブの枝を腕に一杯抱えて歩いていました。なんに使うのかと訊いてみると、明日の日曜日のミサの為に教会に持っていくのだとか。最後にニカッと笑ったおじいさんの笑顔が素敵でした。

私達は早速「アンテイノリ」のお店に入っていきました。
店の向う側はレストランになっているようです。
さーっと置かれているワインを見た後、せっかくですから何かを試飲しようということになり、日本ではあまり飲まれていないローゼを飲む事になりました。「Bolgheri Rosato DOC・SCALABRONE」
暑い日本では白ワインは好んで飲まれているようですが、未だローゼは知られていないとか。ローゼはフランス人が好んで飲む、綺麗なローズ色をしたワインで、冷やしてアンテイパストや魚料理と一緒に飲むと美味しいワインです。

さて、貯蔵庫を見せてもらいました。ここは修道院の地下で「アンテイノリ」がワインの熟成の為にづーっと昔から借りている貯蔵庫でした。眠っている樽の数、約3000樽。
入った途端にワインの香りがプーんとします。
地下はまったく手を加えられておらず、湿気で黒くなった壁が続きます。壁の厚さは1m以上はあり、夏でも冬でもいつも同じ温度を保っているとか。

早口で詳しい説明をして頂いた後は、今度はレストランに移り改めて試飲をする事になりました。
最初は白ワイン「Capsula Viola」
次にキヤンテイ・クラシコ DOCG「Peppoli」
そしてキヤンテイ・クラシコ DOCG・リゼルバ「Badia a Passignano」
丁度お昼時でしたので、味見程度にアンテイパストの盛り合わせと各種パスタの小皿を食べながら試飲をしましたが、最後にチーズを食べながら、ここはやはり「Tignanello」を飲むべきでしょう、という事で有名なTignanelloも試飲をしました。
レストランは感じが良く、料理も綺麗に盛り付けられ、チーズはワゴンごと持ってきます。
ワイン試飲と簡単な料理で1人あたり50ユーロでしたが、「アンテイノリ」の雰囲気がそれは良くて、Tignanelloも飲めたことですし、大変満足しました。

ちなみにトイレはポプリのいい匂いが立ち込めて、手をふくための小さな真っ白いタオルが一杯積んであったのが私は気に入ってしまいました。

帰り際に知ったことですが、冬の間のカンテイーナ訪問は難しく、でも4月と5月は数日、そして夏には毎日ここのカンテイーナ訪問と4種のワインの試飲が10ユーロでできるようです。要予約。

今回行った時は葡萄畑には葉がまだ出ていなくて、幹だけが綺麗に並んでいましたが、次回行った時は青々とした葉っぱがついた絵葉書のような美しい風景が見られるのだろうと、今からとても楽しみにしています。

antinori

antinori

antinori

antinori