Kiyomi D.

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チェルタルド

Certaldo

あんなに暑かったトスカーナ、9月に入って急に気温が下がりました。特に朝夕はひんやりし、何か長袖のものを着ないと寒いくらいです。

夜、窓を開け放していてもまったく涼しくならなかった8月末なのに、9月になったら急に気温が下がり始めるのですから、やはり「9月」は秋の季節なのでしょうか。
夜中でも27度ほどあった気温が、今では17度ほどしかありません。自然も、「ああ、9月になっちゃった、涼しくしないと」とあわてて温度調節をしたような感じさえしてしてしまいます。

とにかく気持ちがいいです。
朝起きるとまだ涼しくてすがすがしく、日中は青空の広がる初夏のような気温を楽しみ、そして夕方は家恋しくなるような涼しさがやってくるのです。
冬の寒くなる前の、この丁度いい時期。
多いにエンジョイしています。

ただ、トスカーナは未だに雨が降りません。
北イタリアでは大雨が降り、山の方では崖崩れがあり、小さな町全体が泥に埋まっている所もあると言うのに。
どうして雨はある一定の場所に集中して降るのでしょうか。
イタリア全国に平均的に降ってくれればいいものを、集中するものだから、何処も困ってしまいます。

先週の土曜日からフランスの友達夫婦が遊びに来ていました。
あの猛暑で、一万一千人ものお年寄りが亡くなられたフランスですが、この所急に寒くなり、トスカーナでは絶対に海に行くのだと決めてきたのだそうです。
それで丁度寒くなる前の最後のチャンスを掴み、海に行ってきました。そして次の日に連れていったのが、フィレンツェ州にある「チェルタルド」という街です。

ここは、14世紀にイタリアで大変有名だった詩人、「ボッカッチョ」が住み、そして亡くなった街として知られています。
彼が生まれたのはフィレンツェですが、その後両親とともにナポリへ行き、そして最終的にこの町に住みついたと言われています。

古い街は「チェルタルド・アルト」と呼ばれ、トスカーナの殆どの街がそうであるように、新しい町が平野に広がる代わりに、高い丘の上に立っています。

高い所にありますので、ここには小さな登山電車を使って登ります。
毎時15分おきに出ており、モダンなシステムで便利に出来ています。
登山電車に乗っている時間はほんのわずかですが、でもこの登山電車がなかった時は、歩いて登ったのでしょうか。上までかなりの距離があります。

ボッカッチョの街自体も小さなものです。
登山電車を下りて、街を取り囲む壁の中へ入ると、ボッカッチョ通りが長く真っ直ぐに伸びています。
私達が行ったのは9月に入ってからですから、旅行者も少なく、特にお昼時でしたから、通りはひっそりとしていました。

この通りに、ボッカッチョが住んだ家が左にあり、そして彼のお墓が埋葬されている教会が右にあり、突き当たりに行政宮殿が建っています。6ユーロでボッカッチョが住んだ家と行政宮殿と美術館が訪問できます。
ただし、今あるボッカッチョが住んだ家は新しく作られたもので、旧家は第2次世界大戦で壊されてしまったそうです。
行政宮殿は家具こそありませんが、フレスコ画が天上から壁、いたるところに描かれており、階段を下りたり上ったりしながら、いろんな部屋を見ることが出来、かなり興味深い場所です。

チェルタルドの街の歴史は古く、5~6世紀のロンゴバルゾ族の時代にさかのぼるようです。
そして12世紀にアルベルテイという貴族がここを支配し、廃墟だった所に次々に新しい建物が立てられるようになりました。
しかし、フィレンツェとシエナの戦争の影響を受け、土地を耕す人が少なくなり、生活が苦しくなったアルベルテイ家は、1209年とうとうこの場所を明渡す事になったのです。
そしてこの土地がチェルタルドと名づけられ、新しい街(今の古い街)として生まれ変わったのです。

小さな街ですが、壁の中に1歩踏み込んだ途端に、中世の雰囲気が目の前に広がり、街というより貴族アルベルテイ家が築きあげた城下町のような雰囲気がする所です。

詩人、ボッカッチョに興味がおありの方は、きっと訪れたい街でしょう。

Certaldo

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