Kiyomi D.

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トスカーナのパン屋

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4日前に北風(トラモンターナ)が吹き出し、それを境にトスカーナもめっきり寒くなりました。
外の気温は10度前後。夜は6度ほどまで下がりました。
昨日は久しぶりの雨が降りだし、寒いのですが、みんなを喜ばしてくれました。
でも、今日は又素晴らしいお天気です。
空は青く晴れあがり、これが秋晴れと言うのでしょうか。

家の前の葡萄畑も紅葉し、すっかり秋の気配を見せています。
こうなるとやはり暖炉の火でしょう。

私の住んでいる地区の地下には温泉が湧いています。
その蒸気を利用して、電気を作っている会社がありますが、その同じ蒸気を利用して、この回りにある町に暖房をとり始めました。
2年前から町の道を掘り起こしては太いチューブをいれ、そこに蒸気が通り、家の暖房システムに繋げています。
この蒸気の暖房が入っているところは、セントラルヒーテイングと同じで、栓を開けるか閉めるかで、自分の好きな時に暖房を入れることが出来ます。
そして、この暖房がとても温かいのだそうです。
栓を殆ど閉めた状態でも、部屋ではTシャツだけでいいくらいだとか。羨ましい!そうなのです、私の家にはこの暖房システムはまだ入っていないのです。
私の家は町から1km離れた郊外に立っており、回りに家が余りないため、蒸気を通すチューブが入らなかったのです。
寒いのにめっきり弱い私は、冬になると「寒い、寒い」と口癖のように言います。来年こそは入るように祈っている所です。

でも、この暖房が入るときっと暖炉に火を焚くなんて事は考えないでしょうから、せいぜい今年は沢山火を焚いて、暖炉を楽しもうと思っています。

さて、TVで放送していましたが、ヨーロッパ国で一番沢山パンを食べるのはイタリア人なのだそうです。
そして、10人の内9人は毎日新鮮なパンを購入しているのだとか。
大家さんちもそうですし、大家さんのおばあちゃんもそうですが、昨日買ったパンがいくらまだ食べられる状態でも、必ず朝には新鮮なパンを買いに行きます。
私の家はと言えば、2~3日は同じパンを食べています。
パンの箱とか、パンの袋に入れておけば、2~3日たっても美味しく食べられます。主人のジョンは新鮮なパンもいいけれど、2~3日経ったパンは程よく固くなっていて美味しいともいいます。
でも彼も言っていますが、フランスでも同じで、殆どの人は毎日新鮮なパンを買いに行くのだそうです。

フランスのパンは本当に美味しい。バゲット、クロワッサン・・。
フランスだけではなく、スイス、ドイツのパンも美味しいですね。
イタリアのパンは、食事をしている時に肉やチーズと一緒に食べるものであって、パンだけを楽しむには程遠いと言うか・・・。
特にトスカーナのパンには塩が入っていませんので、そのパンをホテルなどで朝食に出された時には、「美味しくない!」とかなり悪い印象が残ります。

トスカーナのパンに塩が入っていないのには2つ理由があるようです。その昔、塩はとても高いもので、塩を買うとそれに税金がかかったのです。そんな高価なものをパンには使えなかったのでしょう。
誰かの為に仕事をしてもお金をもらう変わりに塩をもらった時期もあったそうです。塩はこちらでは「サーレ」と言い、日本でもお給料の事を「サラリー」と言いましたね。ここから来ているようです。

もう一つの理由は、トスカーナ料理の味はかなり濃くできており、一緒に食べるパンに塩が入っていると塩気が効き過ぎる事もあり、塩を入れなかったとも言われます。
まあ、これは日本のご飯と同じですね。日本のご飯には塩を入れないでしょ。
でも醤油味の料理とは良く合います。
反対にこちらヨーロッパの人達は米を炊くときには必ず塩を入れますからね。

美味しいパンの国で生活してきた私にはこの塩抜きパンは一種のショックでした。
ですから、今でもこちらのパンは余り食べませんし、買うときには塩入のパンを買っています。

私の町にはパン屋さんが3件あります。
どのパン屋も繁盛していますから、みんな毎日パンを買うのでしょう。パン屋さんの売り子さん達は(女主人もいますが)、みんな白い帽子をかぶっています。これは衛生面を考えてのことで、この帽子をかぶっていないと、違反なのです。
衛生課の人がある日、ひょっこり店を訪れます。その時店にいる人が帽子をかぶっていないと、かなりの罰金か、もしくは営業停止になります。

イタリアと言う国は一般的には、ごみごみした、余り綺麗な町ではないと言う印象がまだ強いようですが、ところが衛生面では他の国に負けないほどしっかりしているのです。
レストランのキッチンで働く人たちは、全員白い帽子をかぶっていないといけません。
パンやお菓子を作っている人達も帽子着用が決められています。
これは他のヨーロッパの国では見た事がありません。

それからスーパーマーケットでフルーツや野菜を買うときには、品物を触る手にはプラステイックの手袋をはめないといけないようになっています。
手袋は品物の直ぐ横に備え付けられています。
これも他のヨーロ-ッパ国では見た事がありません。
特にフルーツなどは、さっと洗ってそのまま口にする事が多いので、やはり余り人の手で触れてもらいたくはないものです。
時々旅行者のドイツ人達が素手で品物を触り回っているのを見ると、私達が注意をしてあげます。

本当にイタリアは衛生面ではしっかりしている国です。
トイレと道路状態も以前は非常に悪かったイタリアですが、でもヨーロッピアンコミュニテイーの一員となった今は、非常に改善されました。まあ、南イタリアは別で、イタリアとはまったく違った国ではないかと思うほど、まだまだ改善されていない所が多いようですが、トスカーナだけを見てみますと、他のヨーロッパ国に勝るほど本当に住みやすい所です。
だって衛生面や道路状態がしっかりしている上に、人々は底抜けに明るく、人情深いのですから。
住んでいてリラックスできる所です。

さて、パンの話に戻りますが、こちらのパンはとても安い。
1個買っても1ユーロ前後です。
いろんな形がありますが、原料は一緒。時々、じゅが芋で作ったパンもあります。
私が毎木曜日買うのは、「パンダのパン」と言う、そうあの目の回りが黒い動物のパンダの名前のパンですが、これはオーガニックで、塩は勿論、松の実、ヒマワリの種、アマの種、カラス麦、など健康なものが沢山入ったパンです。
これはパン屋では作っておらず、毎木曜日と土曜日に別の場所から運ばれてきます。これは1個2ユーロ、7セント。
その他に、パン屋に行くと買うのが、スキアッチャ・セッコと言う薄いおせんべいのようなものです。胡麻の入ったものもあります。
これは食べると癖になるほど美味しい。
パン屋では大きな形で焼きますが、買うときはお店の人がバリバリと割ってくれて、好きな分だけ買えます。
これはパンも一緒で、大きなパンでしたら、その半分とか、4分の1とか買えるのが嬉しい所です。

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