Kiyomi D.

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サマーフェスティバル

summer festival lucca

なかなかに過ごしやすい夏を迎えているトスカーナです。
日中は暑くて朝夕涼しくなるというもっとも理想的な気候で、こんな夏だったらいつでも歓迎です。
ただしフィレンツエだけは例外で、イタリア全国で一番暑い町となっています。
フィレンツエは盆地で、熱風や熱温が外に抜け出せずに籠もってしまう為なのです。
田舎に住んでいる私は夏のフィレンツエに行くと、人の多さ、車の多さ、そして温度の高さにいつもげんなりさせられます。

さて夏と言えば、7月にある自転車競技のテゥール・デ・フランスを見ないことには始まりません。
これを観ながら、ああ夏だなぁ、と私は感じるのです。
私が小さいときに相撲の夏場所を観ながら、ああ夏だなあ、と感じたのと同じように・・。
特に今年はアメリカのアームストロング選手出場最後の年ですから、じっくりと観たいところです。
・・で、毎日観ています。

昼食を食べた後、リビングにあるソファーに座り、早くて1時から、遅くて2時過ぎに始まるテゥール・デ・フランスを観るのが日課となっています。
そして観ながら昼寝をしてしまいます。
ふっと起きるとちょうどテゥール・デ・フランスの後半部分で、そこから最後まで観るというのが今年のリズムになってしまいました。
テゥール・デ・フランス以外にも、アスレティックがあったり、スイミング・ワールド・チャンピオンがあったりで、退屈しない夏です。

さて、日本では暑さに対応して「クールビズ」という服装が話題になっているようです。
首を締め付けるネクタイをしない服装だそうですが、いつものワイシャツにネクタイだけを取り除いた格好は余り良くないようですね。
やはり立て襟の、ネクタイをしなくても格好が付くシャツがよろしいようで。
こちらイタリア、フランスではネクタイをしない服装が既に数年前からはやっていました。
勿論政治家達はネクタイなしではその地位を表現できないためでしょう、はずせないようですが、TVの中ではニュースキャスターを除いて殆どの男性がノーネクタイです。
TVの影響は大きい物で、一般の男性もすっかりネクタイを忘れてしまったようです。
若い男性から中年、老年もジャケットは着てもネクタイはしない、と言うのが新しいファッションであるように、綺麗さっぱりそれが首から離れていったのは観ていて気持ちのいい物です。

涼しく過ごす為に、こちらではノーネクタイだけではなく素足にサンダルという格好も良く見かけます。
道を歩いているイタリア男性で靴を履いている人は10人に一人くらいでしょうか。
殆どの男性がサンダル履きで、靴を履いていたとしてもソックスなしの素足でつっかけています。
サンダルも、ドイツ人達はレオナルド・ディ・カプリオが映画「ビーチ」のなかで履いていたような「どこまでも歩いていけるハイキングサンダル」のような実質サンダルを履いていますが(ジョン・クロードも持っています)、イタリア男性はやはりファッショナブルな物が多いのです。
ティーンエイジャー達は、それこそ草履のような物を好んで履いています。
ラフだけれどもどこかスタイリッシュなイタリア人達は本当に格好いい。

夏になり軽装になってくると良く目にするのがタテゥー(入れ墨)です。
イタリアの若い男女の半分以上は身体のどこかにタテゥーをしているのではないでしょうか。
肩の上や後ろ側、首の後ろ、そしてヒップボーンのズボンをはいたときに見えるように入れた背中の腰のあたりのタテゥーは女性に多いように思います。
足首や腕に入れたものもよく見かけます。
大家さんちのティーンエイジャーの娘も2~3カ所に入れています。
この間はその大家自身が心臓の上のあたりにバラの花とハートのタテゥーを入れてきて驚きました。もう50歳近い人です。
ちょっと行きつけのお店やビーチなどに行くと、自分の名前を日本語でタテゥーしたいので紙に書いてくれ、と頼まれたりします。

この間はちょっとびっくりしたことがありました。
行きつけのエノテカで地元の若い男性に頼まれて「愛情」という漢字を紙に書いてあげたのですが、この間行ってみると「見てくれー、タテゥーをしてきた!」と彼は自慢たっぷりにタテゥーの入った腕を見せてくれました。
どれどれ、と覗き見た私は「うっ・・・」と一瞬詰まってしまいました。
なんと・・・、肘から手首までの間に「 愛情」という漢字が 驚くことに裏表に大きく書かれていたのです。
一瞬私は「どうしよぅー!」ととても困ってしまいました。
私の様子を見た男性は、「 間違って書かれているか?」と 心配そうに訊いてきました。
「漢字自体は間違いではないけれど、でも裏表に書かれているのよ。左右逆」と教えてあげると、「でも愛情と書かれているのは分かるか?」と言うのです。
「それは分かるけど、でも正しくないよ。裏表だよ」と言うと、
「分かるんだったら大丈夫。ヴァ ベーネ、ベーネ」と言ってけろっとしています。
彼自身が平気と言うのならいいのですが、なんだか私の方が責任を感じてしまいました。
だって、彼は一生裏表の「愛情」を腕に抱えて生きていくのです。
いいのかな~・・・?

さて、夏になるとオープンコンサートがあちこちの町で開かれます。
シエナではカンポ広場で催される無料のコンサートがありますが、美しい城壁で有名なルッカでも毎年イタリアだけではなく各国の有名なミュージシャンがやってきてサマーフェスティバルが開かれます。
有名なところではスティングも来ました。
夏が近づくとこのコンサートのPRがあちらこちらで見られるようになり、行きたいなぁと思いながら果たせずにいましたが、今年はやっとその一つを見に(聴きに)行ってきました。
アイルランド出身のヴァン・モリソンのコンサートです。

CDなどで大きく包み込むような深い声は知っていましたが、まだ実物を見たことがありませんでしたので、断然興味がわいてきました。
この日のコンサートは21時始まりで、席に座れるのが19時半。
チケット料金はそれぞれのコンサートで違い、ヴァン・モリソンの日は一人34,50ユーロでした。
私たちは18時にはチケットを購入し、席に座れるまでちょうどバーゲン時期でしたのでうきうきとショッピングに出かけました。
ちなみに、ルッカには 小さな 可愛いお店がたくさんあるのです。

小さな買い物で十分満足した私たちは19時半過ぎには席に座っていました。
コンサートはナポレオン広場で開かれます。
やはりヴァン・モリソンが熟年のミュージシャンだからでしょうか、コンサートには私たちと同じ年齢層の人たちが沢山来ていました。
イタリア人の中に混じって旅行者が多かったのは少し驚きでした。

21時きっかりに、深い声とはちょっと違った風貌(実物はかなり小柄)のヴァン・モリソンのコンサートが始まりました。
さすがに才能のあるミュージシャンです。
サクソフォンはうまい、声はいい、ギターも弾く、そして周りのバンドをリードしていきます。
又このバックバンドが皆プロフェッショナルで良かったのです。
やはりライブはいいです。
最後はみんな総立ちでスイングしながら大合唱し、1時間半の大いに盛り上がったコンサートは終わっていきました。
その後、駐車場まで歩いた夜更けのルッカの街がこれまたよかったのです。

summer festival lucca

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