Kiyomi D.

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「ブーベの恋人」の発祥地、トスカーナ

agosto

涼しい夏が続いているトスカーナです。
暑くて寝苦しい、と思った夜は7月の下旬に4日ほどありましたが、その後は、日中は夏らしく暑くなり、そして夕方から信じられないほど涼しくなっています。
夜の気温が15度まで下がったこともあります。
夏ですから暑いのは当たり前ですが、日中太陽を浴びすぎて少しくたびれた身体を夕方の涼しい風が癒してくれるのは天国のようです(といっても、私、天国に行ったことはないのですが・・・)。

今年の夏は雨も適当に降ってくれています。
昨日も雨が降り気温もかなり下がりましたが、今朝起きてみると外は太陽の光でキラキラしていて、心の底から喜びがわいてきます。
洗濯しようー!と元気になる朝です。
こんなに理想的な夏ですから、きっと秋の味覚は例年になく豊富なことでしょう。

この所日本ではイタリアの紹介番組が多いらしくて、この間もNHKでイタリア縦断の生中継があったと沢山の方からご連絡がありました。
トスカーナの紹介もあったらしく、世界遺産となっているシエナやサン・ジミニヤーノなども紹介されていたようです。
雑誌などにもトスカーナは沢山取り上げられているようで、糸杉のある広大な風景がミラノやローマ、フィレンツエの町と共に、日本の方達に興味を持たれつつあるようです。

つい最近では、朝日新聞の土曜特別版で私の隣町であるヴォルテッラのことが書かれていたそうです。
ヴォルテッラは約3000年の歴史のある中世の町で、町の中心部にある市庁舎・プブリコ宮殿はフィレンツエにあるヴェッキオ宮殿より80年も古いものです。
別の言い方をすると、13世紀の後半フィレンツエがヴォルテッラを支配したときに広場に建っていたプブリコ宮殿に感銘を受け、それから80年後に同じものをフィレンツエに建てたのが今のヴェッキオ宮殿なのです。
その為ヴェッキオ宮殿が作られた際はヴォルテッラと同じようにプブリコ宮殿と呼ばれていました。

石造りの町で中世の雰囲気がまだまだ残り、その雰囲気を壊さない程度に小さなお店が並び、かといって観光地だけではないこの町は、ヨーロッパの旅行者達にどんどん知られようになりました。
ヴォルテッラはフィレンツエから車で約2時間の道程です。

さて、朝日新聞の土曜特別版に書かれていたのは上記のようなヴォルテッラの歴史ではなく、60年代に上映された仏・伊合作映画のことなのです。
「ブーベの恋人」という古い映画を覚えていらっしゃいますか。
クラウディア・カルディナーレとジョージ・チャキリスが主演した、ファシズムと戦うパルチザンの若者と村の少女の恋物語の映画です。
http://www.be.asahi.com/20050806/W21/20050719TROS0013A.html

この映画の中でジョージ・チャキリス演じるブーベの故郷がヴォルテッラとなっているのです。
映画にはヴォルテッラの周りの小さな町の名前も沢山出てきます。
全て私の隣町です。
私も若いときにはフランス映画やイタリア映画が大好きで、よく女友達と見に行きましたが、もちろん「ブーベの恋人」という映画の題名ははっきり覚えています。
内容は、きっと 若い無知な私には難しすぎたのでしょう、全く覚えていませんけれど、 でも、この題名だけは本当にしっかりと覚えてます。
映画の音楽も正に聞こえてきそうです。

実は、ヴォルテッラで映画が撮られたのは「ブーベの恋人」だけではないのです。
かなりいろんな映画にこの町は使われています。
ヴィスコンティ監督もクラウディア・カルディナーレを主役としてヴォルテッラで映画を撮っており、その時の写真が町のあちらこちらで見ることが出来ます。
この8月の初めにヴォルテッラで「白夜」があった夜、私は4~5年に一度だけ一般の人に公開してくれる個人所有の屋敷を見せていただきましたが、実はこの屋敷がヴィスコンティ映画にも使われたのです。
このお屋敷には未だにちゃんとここの方が普通に住んでいらっしゃいます。

ヴォルテッラという名前には「土地が浮く」という意味があり、夜、遠くから見ると オレンジの光で客船のように形どられた町が 真っ暗闇の中に浮かんでいるのが見えます。
霧の出る夜などはオレンジの光がボーッとかすみ、それは神秘的です。
こんな町が映画監督達の興味をそそったのでしょう。

agosto

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