Kiyomi D.

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トスカーナの海と森

mare

とうとう今年も9月に入りました。
「9月」という字は秋を思い出させますが、トスカーナはまだまだ夏の名残が強く残っています。
ただ、朝夕はめっきり涼しくなり、ひんやりした空気に夏の終わりを感じるようにはなりました。

でも日中はまだ30度を超す日があり、先週の2日間、私たちは又海へ行ってきました。
北ヨーロッパでは学校が既に始まった為こちらに来ていた旅行者が急に減り、先週の金曜日のビーチはがらがら。
土曜日もいいお天気だと予想に出ていましたので、 早朝の海を見に行こう、と朝7時に出かけることにしました。
いつもでしたら土曜日と日曜日は混むため海には行かないことにしているのですが、今週行かないと多分今年の夏はもう海に行くチャンスはないだろうと思ったのです。

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土曜日の早朝ですから、通り過ぎる町々は寝静まっています。
途中郊外にあるガソリンスタンドでガソリン注入をしたのですが、遠くに見える中世の町に朝霧がうっすらとかかり、昔、休暇に出る時にいつも朝暗い内に出かけていたときの雰囲気が蘇り、「ああー、私たちは永遠に旅行者だー」と嬉しくなってぴょんぴょん跳ねてしまいました。
一生旅行者でいるなんてなんと素晴らしい!

途中コーヒーブレイクをして海に到着したのが8時ちょうど。
駐車場にはたった1台の車があるだけです。
なんとスイスのルッツエルンの車でした。
見ると、私たちの前を中年のスイスカップルが歩いているではないですか。
ううむ~~ん、先を越されたー。
一番乗りだと思っていたのにー・・・。
タオルなどを持って私たちもビーチに急ぎました(急ぐ必要はまったくないのですが・・)

早朝の海は鏡のように穏やかでした。
しーんと静まりかえったビーチ。
砂浜には鳥の足跡が見えます。
小さなものから海鳥のような大きな足跡、そしてトカゲの足跡も。
砂も足に冷た過ぎるくらいです。
長く続くビーチには先ほどのスイスカップル以外に誰もいません。
やったーーー!
ビーチの独り占めです。
昔、オーストラリアを旅行中も良くこんなビーチに出会ったものです。

スイスカップルは来て直ぐに泳いでいましたが、私たちにはまだちょっと冷たすぎるので、ビーチを歩いたり、静かに波の音を聞いたりして、朝の海を大いに満喫です。
少しずつ太陽が昇るに従って透き通った海の底には光が差し込み、波打ち際はキラキラと輝きが増し、朝の冷たい空気をどんどん溶かしていきました。
さあ、いよいよビーチデイの始まりです。

9時を過ぎる頃から一組、二組とイタリア人の家族連れが来始め、10時頃にはガラガラだったビーチがビーチパラソルと人で埋まってしまいました。
何しろ土曜日です。
家族連れが圧倒的に多いのです。
ガヤガヤとおしゃべりをする大人達、砂で遊ぶ子供達、孫の世話をするおじいちゃんとおばあちゃん達。
静かなビーチも良いけれど、こういう風景も又楽しいものです。

沢山泳いで沢山太陽を浴びたビーチをお昼頃には後にして、昼食は家でパスタ。
ゆっくりシャワーなどを浴びていると、なんと夕立がやってきました。
庭のお花たちが乾燥しているのでそろそろ水やりをしなければ、と思っていた矢先のシャワーですから、これまたグッドタイッミング。
1時間ほど降ってくれて自然に十分な潤いを与えてくれました。
その夕方、大家の従弟であるセルジョがポルチーニの茸を採りに行かないかと誘ってくれました。
数日前にも雨が降ったし、今日の夕立もあり、きっとポルチーニが見つかるだろうと言うのです。
これは興味のある話しです。

翌朝9時にセルジョと息子のジアンニが車で迎えに来てくれました。
私はジーンズに山歩き用の靴を履き、木の上から虫が落ちてきても驚かないように帽子もかぶりました。
私たちの住んでいるところが既に郊外ですから、30分ほど走ったでしょうか、栗の木がたくさんある森へまもなく到着しました。
そこには栗だけではなく、野生のリンゴや洋なし、アプリコットなどの木も沢山あるのです。
こんな所があるなんて今まで夢にも思いませんでした。
昨日の朝は海で、今朝は森にいる私たち。
なんて幸せなんでしょう。

森の中を歩いていくと去年のイガグリや枯れ葉が、濡れた地面に茶色く敷き詰められ、そんな中に同じような色をしたポルチーニ茸を見つけるのは簡単ではありません。
ポルチーニ以外の茸の方が目に入りやすく、その一つ一つをセルジョが説明してくれました。
傘が赤くて見るからに毒茸に見える茸は食用とか、ポルチーニそっくりだけど傘の裏の部分が黄色いものはポルチーニではないとか。
食べても大丈夫だけど少し有毒とか。
ポルチーニ茸が一つ見つかると、必ずその近くにもう一つあるのだとか・・。
森の中は坂も多く、濡れた枯れ葉で足が滑りやすくなっており、セルジョは小枝を切り取りさっと杖を作って渡してもくれました。
彼は本当に頼りになる物知りのアウトドアマンです。

そんなセルジョが最初のポルチーニを発見し、見本を見せてくれました。
私も目をこらして探すのですが、慣れていないとなかなか見つかるものではありません。
これだからポルチーニは高いのかと納得。
そうして歩いていると、鼻先に漂う濡れ枯れ葉の匂いが頭の中を癒してくれたようで、すっかりいい気分になってしまいました。
私たちは1時間半ほど森にいたでしょうか、約1kg近いポルチーニを見つけることが出来ました。
私はやっと2つ見つけただけですが大満足。
ジョン・クロードもいくつか見つけました。

そうやってみんなで見つけたポルチーニは昼食にセルジョの奥さんのエレオノーラがパスタと天ぷらにしてくれて、みんなで一緒に食べました。
セルジョ一家は私の日記にちょくちょく登場してくれますが、人情が厚くて親切で、トスカーナ人の代表です。
彼らからいろんなことを学びます。
9月末には栗狩りにも行く約束をしました。
こういう人たちが今の私の家族なのです。

porcini

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