Kiyomi D.

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J-Cの誕生日

jean-claude 50 years

ああ、トスカーナの太陽が戻ってきました。
雲一つない真っ青な大きな空が広がっています。
そして暖かい、と言うより暑い!
2階にある家の窓から外を眺めると、太陽の下、露で洗われた濃淡の緑の風景がずっと遠くまで静かに広がっています。
無風の日がもう3週間も続き、今日も遠くに見える煙が真っ直ぐに登っているのが見えます。
彼のPCから癒し系のピアノ曲(ヒーリングタッチ、ナダム作曲)が流れていて、それが何とも言えない雰囲気を加え、私は正にパラダイスの中に身を委ねているかのように感じるのです。

パラダイスといっても宗教的なものではなく、この宇宙全体の神秘さと言うか、全てのものが生存している不思議な現象。
そんな大きな生存の中に身を置いている私は、宇宙から見るとちっぽけな埃にも見えないでしょう。
でも、今こうして私が感じている安らぎ、穏やかさはきっと宇宙に小さいけれど何かポシティブな影響を与えるように思います。
いつもいい影響を与えられるようにポシティブでいたいと思います。

さて、いいお天気になり始めた3日前の話しですが、私の相棒ジョン・クロードの誕生日会がありました。
ちょうどサン・サルバドールから短期間ですが帰省している大家のダンテも9月が誕生日だったということで、合同誕生日会を開くことになりました。
ジョン・クロードは今年で50歳になりました。
なんとまあ・・・!
私もそうですが、彼は自分がそんな歳になった気が全くしないので誕生日会なんて開いて欲しくないと言っていましたが、一応区切りのいい歳ですし、それにダンテもいることだし、一緒に大いに騒ごうぜ、と言う会になりました。

jean-claude 50 years

そうなると俄然やる気が起きたジョン・クロードは、自分のカンティーナに寝かせている最高級ワインを振る舞うよ、と言い出しました。
誕生日会は夕方ですから、メニューは肉のグリルと野菜サラダ、そしてケーキだけにしようと決定。
場所はダンテの従弟のセルジョが殆ど自分の手で作り上げた谷の家です。
大勢でグリルをするときはいつも彼の谷の家と決まっています。
この谷の家は言えば別荘のような感じで、彼が住んでいる家は別の処にあるのですが、目の前に道路が走っていて殆ど1日中うるさいので、よっぽど雨が降らない限り、セルジョ家族(彼と奥さん、そして息子一人)は午後からこの谷の家にやってきます。
そしてこの谷が私の住んでいる家の直ぐ前にあるのです。

私の処から彼の家に降りるまでの傾斜には約400本のオリーブの木が植わっています。
ダンテ所有の木なのですが、セルジョがテイクケアからオリーブの実の収穫まで全部やっていますので、オリーブオイルの分け前は彼らの間で半々になっています。
そして私もそのオイルをいつでも使用できるようになっていて、酸性度の最も低い土地で出来た最高級のオリーブオイルを毎日ふんだんに使わせて貰っています。
なんと贅沢な、と思います。

jean-claude 50 years

セルジョの谷の家にはピッツアを作る釜も作られていますが、グリルは普段風呂場に付けられているようなボイラーを半分に切ったものに火をおこして行われます。
さて、私がセルジョと一緒に肉を買いに行ったところは私たちの町で一番清潔で一番いい肉を扱っているお肉屋さんです。
私やセルジョも肉を買うならこの肉屋と決めていて、町の半分以上の人たちもこの肉屋に買いに行くようです。
ただこの肉屋のご主人は大の話し好きで、客の奥さん方とおしゃべりが始まると止まらないのがたまにきず。
店に入って自分の前にお客さんが一人か二人いたら最低30分は待たないといけない覚悟が必要です。
その為、この肉屋には美容院のようにソファーとテーブルが雑誌と共に用意されていて、立って待つのが嫌な方はここでどうぞ、と言う風になっています。
慣れた人は店に入ってくるなりドカッとソファーに座り雑誌に没頭する人もいます。
待合い場所のある肉屋は始めてです。

今回買った肉は、ビステッカ・ペル・タリアータ、なんと厚み6~7cmはありました、が3枚。
ロスティンチャーナ(リブ)、長さ80cmほどのものが1枚。
リガティーノ(ベーコン)、6枚。
肉屋のご主人の作りたてのソーセージ、12本。
それに私の家で飼っている鶏4羽。
誕生日会参加者15名の胃袋にこれが全部はいるのですか・・・!?

ダンテの奥さんのお姉さんが野菜のスフォルマータ(スフレ)を持ってご主人と一緒に参加。
このご主人もソムリエの資格を持っている人です。
そして彼もまだ飲んだことがないというワインを今日はジョン・クロードが持ってくると言うので、大いに楽しみにやってきました。
ダンテの奥さんが風船などの飾り物を用意していて、殆ど何も言わなくてもそれぞれが必要なものを持ち寄ってパーティーの準備は進んでいきました。

夕方7時半頃に続々と友達が集まり始め、肉のグリルが出来上がったのが約8時半。
さあ、長いテーブルにみんな集まってー!
先ずはスプマンテで乾杯です。
テーブルに並んだ料理は肉のグリル、野菜のスフォルマータ、ポテトフライ、野菜サラダ。
ジョン・クロードが持参したワインは、
先ずキヤンティ・スーペリオーレ ヴィッラ・ダ・フィリカイア 2003年
次にブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、バンフィ 1997年
そして最後にオルネライヤ 2000年です。
いいワインはいいグラスで飲まないと、と言うことで大きなグラスも家から持参しました。

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このキヤンティはボディがあり香り味とも最高に美味しかったです。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、バンフィ 1997年は3年前に世界でベスト3に入ったワイン。
それからオルネライヤ 2000年は言うまでもありません。
ワインの中のワイン、ワインの王様です。
ワインだけで日本円にすると5~6万円はしているでしょう。
彼、張り切りました。

これらのワインは肉料理とも勿論合いましたが、食事の最後に出るトスカーナ特産ペッコリーノチーズと一緒に食べると(飲むと)それぞれの味をうまい具合に高め合って、それは美味しいのです。
チーズとワインの相性は最高です。
オルネライヤの味にまだ酔いしれている頃に、おばあちゃんの作ったケーキに火を付けるときになりました。
誕生日会なんていいよ、と言っていたジョン・クロードの嬉しそうな顔。
誕生日会というのは当てつけで、何でもいいのです、こうやって友達でわいわいやるのが彼は大好きです。
ケーキと一緒にデザートワインがでて、その後にコーヒーと一緒にグラッパを飲みます。

大酒飲みは男性5人と女性一人。
ほんの味見程度に飲む私はその内に入りません。
せいぜい6~7人で飲んだものはスプマンテ2本、キヤンティ2本、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2本、オルネライヤ2本、デザートワイン1本、グラッパ1本。
それでジョン・クロードは楽しく酔いました(笑)
元々アルコールには強い人ですが、こうやって楽しく飲むとグラスもすすみ酔います。
いつもしっかり者のジョン・クロードが酔うと少しフニヤ~となるので面白い。
普段から誰にでも親切で人当たりのいい人ですが、酔うとハハハハ・・と良く笑い冗談が多くなって本当に楽しんでいるのが分かるので見ているこちらも嬉しくなります。
人が集まると殆ど脇役に回ってそこにいる人たちを楽しくしようと行動する彼が、この誕生日会では主役でした。
それも彼は心底楽しんでいました。
良かったね!

私がジョン・クロードに送った誕生日のプレゼントはインド行きの航空券です。
インドにはもう何度も行っている私たちですが、もう一度一人で行って瞑想を思う存分してみたい、と彼は常々希望していましたので、好まない誕生日会を開いてあげるより旅行のプレゼントをしよう、と思ったのですが結局誕生日会もやってしまいました。
まあ、いいや、どうぞ楽しんできてください。
本当は私も行きたい気持ちは一杯だけど、去年一人で日本へ行きましたから今度は彼の番なのです。
と言うことで、彼は12月に3週間インドへ行きます。

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