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8月末の雷

august

夏の終わりが近づいています。
数日後はもう9月ですから。
でも、トスカーナはまだまだ夏日が続いています。
年によっては涼しい8月を迎えることもありますが、今年は目一杯暑くなりそうです。
7月から8月の中旬くらいまでは日中暑くて朝夕涼しいという、避暑地のような夏の日々を嬉しく過ごしてきましたが、8月後半から朝夕めっきり暑くなり、夕方になっても風はないし、気温も下がらず。
こうなると寝付きが悪くなります。
朝起きて空気入れ替えのために家中のドアや窓を開けるのですが、涼しい風もあまり入らず、ふ~、今日も暑いか~と、何となく覚悟を決めた1日が始まります。
ここ数日はPCの前に座って仕事をする間、扇風機を使用する日が続きました。

トスカーナ郊外に建っている石造りの家は壁の厚さが1mほどもあり、夏は涼しく、冬は暖かい、となっているのですが、私が住んでいるのは一軒家の2階。
赤い瓦の屋根に照り付く太陽熱が階下よりも直接我家に影響するようで、温度も数度高めです。
トスカーナ郊外でエアコンをつけている家はほとんどなく、扇風機を使う家も数えるくらいでしょうが、数年前のあるとても暑い夏、わが家はとうとう扇風機を購入しました。

さて、こんなに暑くなるとやってくるのが夕立です。
こちらの夕立はパワフルです。
雷の音がすごいです。
雨も大粒で激しく降ります。
勿論、半時間から1時間で終わってしまうのですが、その間、家の中にいて良かった~と思います。

このところ3~4日に一度の割合で夕立がやってきていますが、数日前、ものすごい雷を伴った夕立がありました。
普通は、遠くが暗くなり始めて、おお、やってくるなぁ~と気持ちの準備をするものですが、このときは外が普通に明るい内に急に雨が降ってきて、ええ~~っ!?、と驚いていたら、見る間に暗くなり、そして大粒の雨。
夕立の時はあられが降る日も多いけれど、この日はものすごい雨が空から落ちてきました。
そうして、ゴロゴロとなってきたのです。

雷が鳴り始めると、わが家ではPCの電源を全て切ってしまいます。
こちらに来てから雷でやられたのはPC2機(3機?)、電話機、FAX機等。
家の外ではリモートコントロールで開閉する鉄の門のリモートコントロール機もやられて一時開くことが出来なくなったことも。

ということで、今回も雷が近づいてきて直ぐにPC関係の電源を切り、TVやDVDプレイヤーなどの電源も切りました。
雨が入り込まないように鎧戸も閉めていますので家の中は暗く、こうなったら後はソファーに座って夕立が過ぎ去るまで待つしかありません。
ジョン・クロードと一緒にソファーに腰掛け、暗い部屋で雨の音に耳を傾けていました。
雷もひっきりなしになっています。
そんな時です、いつもならピカッと光ってちょっと間がありゴロゴロゴロ・・・となるものが、ピカゴロッ!!!、と私たちの身近で鳴り響きました。
ソファーの上で私とジョン・クロードの腰が浮き上がりました。
それが続けて2回。

自然の力というものをこういうときに感じさせられます。
1時間ほどして夕立が過ぎ去り、外へ出てみて驚きました。
家の直ぐ横に立つ見上げるほどの大きな樫の木に雷が落ちていたのです。
近くに落ちたとは思っていたけれど、こんな近くに落ちていたとは。
樫の木はてっぺんの細い枝から雷が入り、太い幹に爪痕を残しながら地面へ入っていったようで、幹の側面が生々しく裂かれていました。
そして、直ぐ横にあった大家の従兄弟の家に繋がっていた電機計器の入った箱が爆弾を破裂させたように破壊されていました。

自然の力は本当にすごいです。
それでもわが家はちゃんと電源を切ったのでPCなどは大丈夫だった、よかった~と思っていたところ、な~んと、なんと、電気を切っていたにもかかわらず、居間に置いてあったIPhoneプレイヤーとその横に置いてあった別のPC,そして風呂場の湯沸かし器がやられていました。
うむむ~~~。

次の日は海へ行くつもりでランチボックスも用意していましたが、その日は湯沸かし器を直すために備品を買いに行ったり、お店の人に訊きながら治したりで1日が過ぎてしまいました。
ジョン・クロードは今回の件で湯沸かし器がどのようなシステムになっているのか理解でき、タンク内に溜まっていたカルクも掃除して、そしてちゃんと一人で修理することができましたから、まぁ、それはそれで良かったのですが。

次の日、PCとIPhoneプレイヤーは修理のためリボルノにあるマックのお店に持って行きました。
これからは、雷が近づいたら家中の電源を切りまくろうねとジョン・クロードと誓いました。
帰りはちょっと寄り道をして、海の真ん前にある魚介類専門のレストランで昼食をとりました。
私たちが魚を食べたくなるとここへ行きます。
私たちはベジタリアンですが、たま~に魚を食べます。

先ずは生の魚やエビのアンティパスト、そしてセコンドですが、私はこのところイワシが食べたいなぁ、とどうしてか思っていました。
イワシはもう何年も食べていません。
それで、ウエイターに「イワシはないの?」と訊いたところ、とっても立派なのがあるよ、というではありませんか。
フライがいいか、それともグリルがいいかと訊かれたので、フライもいいけど、今日はグリルでとお願いしました。
こちらイタリアのレストランでは、メニューになくても、食べたい物があれば言うと作ってくれるのが嬉しいところです。

大きなイワシが大皿に12本も並んで出てきた時はびっくりしましたが、シンプルなグリルで、正に私が食べたい味でした。
お醤油があればもっと良かったかな。
雷がPCを壊してくれなければこうしてイワシを食べることもなかったでしょう。
人生、悪いことの横には必ずいいことがあるようです。

august

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