Kiyomi D

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スイスへ行ってきました

Switzerland

先週、スイスへ行ってきました。
去年買った車のサービスのためです。
スイスやフランスへ行くたびに、「飛行機で行かれたのですか?」と訊かれるのですが、ヨーロッパは陸続きですから、私たちはいつも車で行きます。
車だと好きなだけ荷物を持っていくことが出来ます。
前回の車もそうでしたが、今回の車もステーションワゴンで、後ろに好きなだけ荷物を積める場所があるのが気に入っています。
ステーションワゴンは後ろが重ければ重いほど好調に走りますから、長旅をする際には思い切って沢山の荷物を載せてあげます。
お天気もその国次第で寒かったり暑かったりしますので、靴やジャケットも、雨、晴れ用に各種そろえて車に乗せます。
途中でとる食事やおやつも用意して、紅茶などもテルモスに入れて持って行くので、後部座席の足元まで荷物でいっぱいです。
後部座席は2つのラップトップが陣取っています。
時々、車に積まれた沢山の荷物を見て、これが二人用の荷物?と笑ってしまうことがあります。

トスカーナから真っ直ぐスイスのチューリッヒまで行くには、途中の休憩も入れて約9時間から10時間かかります。
昔は車を飛ばして一気に入ったものですが、ここ数年、そんなに急いでどうするの、と言う心境になり、イタリアとスイスの国境で一泊することにしています。
スイスに入って直ぐにある町キアッソにモーベンピックと言う、アイスクリームでも有名ですが、ホテルがあり、そこが私たちの宿泊先になっています。
スイスに入ったと言っても、この地域は未だイタリア語圏ですから、イタリアののんびりさとスイスの清潔さが一体化していて、気が休まる町です。

去年の5月は夏のようなお天気に恵まれましたが、今回は雨に降られてしまい、スイスはどんなお天気なのだろうと思いながら、翌日キアッソを出発しました。

イタリアを出てスイス国にはいると、まもなくイタリア語圏とドイツ語圏の境目にあるサン・ゴッタルド車道トンネルに入ります。
長さが17kmあり、走っても、走ってもなかなか出口が見えてこないという、世界で3番目に長いトンネルですが、「トンネルを出ると雪だった」という有名な文章のように、素晴らしいお天気のイタリア語圏からトンネルを出てドイツ語圏に入った途端に雨、もしくは曇り空というのがいつもの風景です。
しかし、今回ばかりは逆でした。
トスカーナを出たときから曇り空で、ミラノ周辺ではとうとう雨に遭い、キアッソでも雨。トンネルを出てドイツ語圏に入ったらどんなん、と少々気が重かったところ、な~んと、トンネルの出口を出た途端にパーッと陽が目に差し込んできました。
お~~~、と二人で驚きの声。なんだ、スイスの方がお天気いいんだ!

雲はあるものの、青空が大きく広がり、外の温度もどんどん上がっていきます。
お天気がいいと、車から眺めるこの辺りの風景は最高です。
未だ雪をかぶったアルプスの山々が遠くに見え、車道の両脇にそびえて立つ大きな山からは、いくつもの細い滝が絹糸のように沢山流れ落ちていました。
アルプス近辺を過ぎると青い湖が沢山見えてきます。
湖畔に迫る緑の丘にはスイスの教会や家々がポツン、ポツンと見え、きっとこの風景がハイジの村風景と呼ばれて好まれるのだろうなぁ、と眺めながらいつも思います。
お天気がいいと、スイスは本当に綺麗な国です。

車のサービスで行ったスイスですが、チューリッヒ市内で楽しみにしていたのはベジタリアンレストラン「HILTL」に行くことでした。
このレストランが営業を始めたのは1898年で、私がスイスに住んでいたときから、ちょくちょく通ったところです。
メニューの種類が多いだけではなく、野菜やフルーツジュースの種類も豊富で、ベジタリアンでなくても楽しめるレストランですが、20年ほど前までは、そんなに飛び抜けて有名なレストランではありませんでした。
昔は、ベジタリアンというと、何かしらの理由でダイエットをしている人、と思われていたところがあり、「 HILTL」に食事に来る人は温和しいお年寄りと女性がメインでした。
レストランにアルコール類が置いていなかったのも、客層が限られた理由だと思います。
ビールさえ置いていないのですから、若い男性達が食事に来るわけがありません。
昔はベジタリアンにアルコールは合わない、飲まない、と思われていたのです。

レストラン「HILTL」は15~6年ほど前から、ビュッフェスタイルが取り入れられ、何十種類というサラダや温料理、そしてインド料理(インド人がスイスで一番美味しいと断言した)がカウンターに並び、レストランで食べる人、又テイクアウトする学生やビジネスマンたちで賑わい始めました。
そして更に大きなチャレンジだったのが、数年前からアルコールを置き始めたことでした。
考えてみれば、アルコール類は全て野菜から作られています。
ワインは葡萄から、酒はお米から、ビールはホップからと言う具合に。
そこに気がついたのが、第4代目の「HILTL」オーナーで、とうとうベジタリアンレストランでアルコール類が飲めるようになったのです。
これがこのレストランに火をつけ、一気に繁盛し始めました。
今では昼でも夜でも席を見つけるのが難しいくらいにまでになってしまいました。
客層は、若い男女がお年寄りを上回り、そしてビジネスランチにまで使われるようになりました。
私が去年行ったときには、既に店内はモダンに改築され、キッチンの壁は全てガラスに変えられて、クックが何をしているのか、どれだけ清潔なのか、どうぞ見てくださいと言わんばかりの潔さを見せていました。
一般向けではないという感じだったベジタリアンレストランから、スーパー大流行のレストランに変容です。

今回行ってみると、更に客が増え、大変な賑わいに驚きました。
4件ほど別の場所にも出店していました。
友達が言うには、レストランは朝食から夕食までほとんど1日中、ずーっと客でいっぱいだとか。
そして金曜日から週末にかけて夜はディスコが始まるとかで、実際、友達と夕食を一緒にした金曜日の夜は、遅くなればなるほど、人でびっしりになったレストラン。
きゃ~、これがベジタリアンレストランですか?と言いたくなるほどの変わりようです。勿論、ビュッフェの質も最高で、アラカルトも高級レストラン並みに美しく、もう肉なんてなくても全然気にならない、それよりも健康食品を食べる方が今はインだと言う雰囲気いっぱいで、若い男女でワイワイ盛り上がっていました。
スイスやドイツではエコロジーが大きく話題になっている国ですから、ベジタリアンであることが(それが時々のことであったとしても)格好いいと思われているところがあるかもしれません。

更に、レストラン「HILTL」は今、スイスエアーとルフトハンザの航空会社とも提供を組んでいるとか。
ツイッターもやっていて、その様子が店内の壁にライブで映し出されています。
4代目のオーナーを中心に4~5人のアイデアマン達が一緒になって、未来のベジタリアンレストランを築き上げています。

ちなみに、ここのビュッフェは、皿に盛った料理をそのまま「はかり」に乗せて、その重さで料金を支払います。昔は小皿、大皿で料金が決まっていましたが、小皿に大皿以上のこぼれんばかりの料理を盛り上げて小皿料金で支払う人がいて、それを防ぐためもあり、計りシステムを取り入れたようで、これもいいアイデアだと思います。
ただ、ビュッフェの前に立つと、どれもこれも美味しそうで、ついつい皿に取り過ぎてしまうのですよね。はかりに乗せたときの重さに、思わずクラッときたりして・・・。

金曜日の夜から雨が降ってきたのですが、レストラン「HILTL」は満席。
それに反して、私たちが「HILTL」を出てホテルに帰るときに見たチューリッヒ市内のレストランのほとんどがガラガラでしたから、どれだけレストラン「HILTL」が今インなのかがよく分かります。

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