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パリの食べ歩き その2 (写真は文章の下にあります)

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パリ2日目、昼食をレストランSolaで食べた私たちは、ノートルダム寺院近辺の小さな通りをあちらこちらと歩いてみました。
車の往来の多いメイン通りから一歩中に入ると、この辺り、急にひっそりとした雰囲気が押し寄せてきます。夜にでもなると人出もあるのでしょうが、昼間は、昔ながらの小さな店が静かに並び、更に奥に入ると住宅とオフィスの建物がドンと建っていて、派手なブティックで賑わっている大通りとは違った、静かな日常的なパリの雰囲気が流れています。
小さなカフェも可愛くて、こういうところでコーヒーでも飲んでいると、旅行者である事を忘れてしまいそうです。
石畳をコツコツと歩いた後、私たちは、パリ8区にあるピナコテック・ド・パリと言う美術館へ向かいました。
パリ在住の友達が、「この美術館でゴッホと日本人画家の展示が行われているので、是非、行ってみて」と勧めてくれたのです。
「日本人画家って、誰かしら?」と興味もあり、行ってみる事にしました。
私もジョン・クロードも、この美術館は初めてです。何処にあるのか見当もつきませんでしたが、小さな地図を片手に先ずは出発。
ノートルダム寺院前のシテ通りを歩いてセーヌ川を渡り、そこから更に真っ直ぐ歩いてリヴォリ通りに出ました。
ジョン・クロードの考えでは、このリヴォリ通りを歩いて行くと、ほどなく右に曲がる道に出て、そこを少し進むと、目的の美術館ピナコテック・ド・パリに突き当たる、はずだったのですが、現実は違いました。
結局のところ、私たちはリヴォリ通りをコンコルド広場まで歩き通し、そこから右にそれてロワイヤル通りを更に歩き、「ピナコテック・ド・パリは何処なんだー?」と思い巡らしながらマドレーヌ広場に出たところで、やっと「美術館ピナコテック・ド・パリ」の標識を見つけました。
歩いて40分程の道程でしたが、はーっ、疲れました! 私たちはその前にノートルダム寺院近辺を散策していますから、途中、チュルリー公園で休憩したものの、いやー、しんどかった!
さて、美術館は更にそこから歩いて200mほどのところ、マドレーヌ寺院の裏側当たりにありました。
美術館の前に来たら、日本人画家が浮世絵の歌川広重だと言う事が判りました。そうです、ゴッホは日本の浮世絵に見せられて描いた絵も沢山あるのです。
ゴッホの絵画を一度アムステルダムで観ている私たちは、今回は広重の浮世絵だけを観る事にしました。「東海道五十三次」「富士三十六景」等は聞いた事がありますが、本物を観るのは初めてです。
実際に見た絵は、はい、ため息が出るほど素晴らしかったです!夕立とか雨模様を描いた広重の絵が、私は特に好きになりました。絵を見ただけで、その雨の中に私自身が立っているような気分になってしまいました。素晴らしい日本人画家がいたものです。
美術館は人で溢れていました。広重の絵は3~4枚がひとまとめでガラスの向こう側に展示されているのですが、その前に人が折り重なるようになり、じっと佇んで観ていました。これだけの人が集まるのも、やはりパリだな、と私は思いましたが、勿論、広重の浮世絵の色、校正、時代の正確さなどの素晴らしさが、パリの人たちにも理解され、感動を与えているのでしょう。

じっくりと広重の絵を見て回った私たちは、疲れた身体を引きずって(少々大げさ?)、何処かでお茶でもしようとなりました。
ジョン・クロードが、「美術館に入る前に、この直ぐ横にピンクの椅子があるテラスがあったけど、そこでもいい?」と言うので、「もうこの際、一服出来るのであれば何処でもいいよ」と私は答え、二人で美術館を後にしました。
ジョン・クロードに手を引かれて数歩歩いて行くと、正にショッキングピンクの椅子が出ている店がありました。普段はこんな店は通り過ぎるのですが、私たちは疲れすぎていました。 「コーヒー、コーヒー」となっている身体で店に入ると、なんとそこにはガラスケースに整然と並んだチーズ等の食材が。
「えっ?コーヒーは?」と私が驚いていると、「コーヒーはあっちの方らしい」とジョン・クロードが更に私を奥へ連れて行ってくれました。
そして行き着いたのは、目にも鮮やかな色とりどりのお菓子が溢れるショーウインドウでした。日本人旅行者、それも女性が沢山来ていました。
これはきっと日本でも有名なところに違いない、とジョン・クロードに言ってみると、「そう、ここはフォーションといって、パリの老舗食料品店で、フランスでも随分昔から有名なところなんだ」と教えてくれました。後で調べてみると、フォーションの歴史は100年、東京にもお店が出ていると知りました。
早く座って何か飲みたかった私たちですが、ここにはウエイターがいません。どうやったらコーヒーが飲めるのか、さっぱり解らず、ついに私たちはお店の人に尋ねてしまいました。
ここでお菓子を食べてコーヒーを飲むには、先ず、お菓子のショーケースに行き、食べたいお菓子を選ぶ。席に座って何か飲みたい人は、同時にそこで飲み物を注文し、合計金額のレシートをもらう。そのレシートを持って、ずっと向こう側にある飲み物のカウンターに行き、飲み物をもらって、お菓子と合計の料金を支払う。支払ったレシートを持って、再度お菓子のショーケースに戻り、レシートを見せて先ほど注文したお菓子をもらう。そして、やおら空いている席を見つけて座る。な~んていう、何とも面倒なところでした。それでも、日本人旅行者の女性達は楽しそうにワイワイガヤガヤやっていましたから、ちゃんと解ったのでしょうね。感心です。
さて、このフォーションのお菓子、うん、まぁ、おいしかったです。出る直前に、ホテルで食べようとサイズ大きめなマカロンを買いました。

私たちが美術館に入っている間に降り始めた雨も止み、フォーションを出た私たちは、夕食のクレープ屋に行く為にモンパルナス行きの地下鉄に乗りました。
目的のクレープ屋は「Ty Breiz」。過去に何度も「パリで一番おいしいクレープ屋」に選ばれた所で、今年は2位にランクが下がったそうですが、行ってみる事に。その前に、予約は必要かどうかジョン・クロードが電話を入れてみました。返事は「1日中開いているので、その必要はない」との事でしたが、電話を切ったジョン・クロードが「なんか変。電話に出たのはフランス人じゃないし・・」と。それでも、私たちは美術館のあるところから地下鉄10駅も乗って、そのクレープ屋へ向かいました。
到着したのは夕方6時半頃でしたが、店内には誰もいません。かなり大きなクレープ屋の前で、又もやジョン・クロードが、「何か変な感じがするんだよねー」と一言。
店の入り口にあるメニューを見ながら、又もや彼は「うう~~ん、なんか変・・」と言うのです。
それでも、せっかく来たのだからと、お店に入りました。入った途端に女性のウエイトレス二人が「いらっしゃーい!」と私たちを席に案内してくれ、パパッと水と突き出しのような物がテーブルの上に置かれました。その早さ!
そこで又もやジョン・クロードが「あのウエイトレス二人ともロシア人だし、さっきチラッとキッチンから出て来たクックはインド人だった」と言うのを聞いた私は、「よし、ここは出よう。他を探そう」と彼を促しました。
私たちには過去に何度も経験があるのです。「何か変」「清潔さが欠けている」と感じているのに、店を出られなくて、結局おいしくない物を食べて、気分が悪くなった事が。
私はもう一度ジョン・クロードに「出よう!」と促して、テーブルを立ち、「すいません、行かなきゃいけなくなりましたー」とウエイトレスに言って、クレープ屋を出ました。
次のクレープ屋は、マレ地区にある、今年1位のランクにのし上がったところです。「Breizh Café 」,109, rue Vieille du Temple 75003 Paris, TEL 01 42 72 13 77, www.breizhcafe.com
地下鉄で行こうと思いましたが、なんだか疲れてしまい、タクシーを拾いました。
「こういう住所の、この名前のクレープ屋へ行きたいのだけど・・」とジョン・クロードが運転手さんに言うと、「クレープだったら、モンパルナスでしょう」と運転手さん。そう、モンパルナスには、クレープで有名なブルターニュの人が沢山住んでいて、クレープ屋も多いのです。
でも、私たちはそこを押し切って、新しいクレープ屋さんがあるマレ地区へ行ってもらいました。
「Breizh Café 」は、丁度日本のお好みや店のような規模で、その狭い場所にお客が続々入ってきます。オーナーもスタッフも感じが良くて、クレープのガレットは、シードルとともに最高においしかったです。そして、私たちは知らなかったのですが、ガレットの原料そば粉、シードル等、いろんな食材がオーガニックでした。甘いデザートは、普通、白い小麦粉で作るのですが、そこをあえて私たちはそば粉で作ってもらいました。塩キャラメルのソースもよだれが出るほどおいしくて、コーヒーは飲まなかったのに、大きな手作りのバターキャラメルも頂いて、いい気分でお店を後にしました。店を出るとき、ご近所さんのような人たちや若者で、店内は一杯でした。
必ず再訪するお店です。クレープ屋「Breizh Café 」は、東京にもお店が出ているそうです。
www.le-bretagne.com/j/lebretagne.html

パリ食べ歩き、続く。 (今日10月27日土曜日、イタリアは冬時間に変更)

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厳つい顔のオーナーがいるバーで、角砂糖が可愛い

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ノートルダム寺院近辺の裏通りにある可愛いお店

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ノートルダム寺院近辺の裏通り

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秋のノートルダム寺院

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セーヌ川のほとりにある古本屋

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古本屋で売っている、ベルエポカのポスター

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フォーションのケーキ、向こうにエクレアー・オウ・ショコラ、手前がフォーションという名のケーキ

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BREIZH Cafeのガレットとオーガニックのシードロ

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クレープ店、東京にも支店があると表記してある

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店の横では、ジャム等の食材も売っていました