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ピッツア・ナポレターナ(写真は文章の下にあります)

こんにちは。トスカーナの清美です。

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11月の3週目まで、春のような気候が続いたトスカーナ、12月を目の前に、どっと天気が崩れました。
崩れる前は、春のように温かくて、庭にあるバラやジェラニウムが芽を出して花を咲かせ、野原には野菊が咲くようになったときは、私も、11月の下旬でこれは少し異常かな、と思いました。
そのお返しでしょうか、今は雨が集中して降っています。
ご存知かと思いますが、ヴェネツィアでは水位が140cmも上がり、マルコ広場が水に浸かってしまいました。地元の人たちは、「ああ又か!」で済んでいるようですが、可哀想なのが旅行者。
スーツケースを肩に抱えて、腰まで水につかりながら歩いている旅行者の写真が新聞に載っていました。
それから、マルコ広場で泳いでいる(!)水着姿のカップルの写真も。マルコ広場は普通歩く場所です。泳ぐなんて、すごい発想だと思います。
たまたま、この週にやって来た旅行者は、不運だったとしかいえません。
ヴェネツィアの地元の人がTVのインタビューで、「TVや新聞で騒いでいるけど、町が浸水するのはもう毎年の事で、別に騒ぎ立てる事でもない!」と怒っていましたが、やはり旅行者の事を考えると、騒ぎたくもなります。
それから1週間後でした、今度はフィレンツェの町がもう少しで浸水するところでした。フィレンツェは過去に何度も浸水していますが、「また今年も?」と心配されたほど、ここ2週間、強い雨が降り続いています。

さて、今日は久しぶりに地元の話題です。
2年ほど前になりますが、ちょっとしたお仕事の関係で、あるイタリア人夫婦と知り合いになりました。彼等は、私たちが初めてトスカーナに来た時に、最初の5ヶ月を過ごした小さな町モンテカティーニ・ヴァッレ・ディ・チェチナという町に住んでいます。
ご主人のガエターノは南イタリアのナポリ生まれ、奥さんのエディは北イタリアの、殆どオーストリアに近い町の生まれ。北と南の二人が一緒になってもう40年近くになるそうです。
ガエターノはナポリで警察官になり、それから転勤でローマへ行き、更に転勤で北イタリアに行った時に、奥さんと知り合い結婚。それから又転勤でヴェネト州に勤務し、更に転勤、転勤を繰り返して、最終的にトスカーナに落ちつきました。トスカーナでも、いろんな町に勤務したそうです。
一度は、犯罪者を乗せて走る車の運転もしたそうで、「あの時は、かなり危険だったよ」とガエターノが話していました。話し好きなナポリターノが話しだすと、何時間でも退屈しません。
そんなガエターノとエディ夫婦に、この間、夕食に招待されました。
食事はピッツア!ガエターノ自慢のピッツア・ナポレターナです。
「彼のピッツアは最高にうまいんだ」と一緒に招待された別の友達夫婦が、よだれの出そうな顔で言っていました。
ガエターノは、数年前に仕事を定年退職していますが、そのずっと前から自分で大きな畑を持ち、彼等の食べる野菜や果物は勿論、豚も鶏も飼っているので、肉やソーセージ、生ハム等も全て自家製です。
そんなガエターノが作るピッツアは、全て手作り。
ピッツアの生地となる小麦粉は買うようですが、イーストは自分で発酵させた物を使うとか。そこに水を足して、何度も、何度もこねるのがいい生地を作るこつだそうです。
トマトソースは、自分の畑で取れた完熟トマトを瓶詰めにしておき、それを裏ごしにして使います。トマトを煮てトマトソースを作る、なんて事はしません。
私も一度TVで観たのですが、ナポリで有名なピッツア屋では、トマトの水煮缶(カットしたもの)を開け、上にちょっと塩をたらして、さっと混ぜたものを使います。私もそれを観て以来、ピッツア用のトマトソースを煮て作る事はしなくなりました。
ピッツアの上に載せるものは、野菜、パンチェッタ(ベーコン)、ソーセージ等。唯一、モッツアレッラチーズが市販ものです。
さて、ピッツアを焼くオーブンですが、それも又々、ガエターノの手作りなのです。
ガエターノとエディは、自分たちの家の他に、大きな庭がある別宅を持ち、そこにこのピッツアオーブンが建てられています。庭には、大勢が座れるテーブルと椅子があり、その上には葡萄とキーウイの大きな木が屋根のように作られています。私たちが行ったときは、その屋根のようになった木から葡萄とキーウイの実がぶら下がっていました。贅沢です。
暑い夏の昼さがり、この下で食事をすると気分がいいだろうな、と想像してしまいました。

さて、私たちが行った時には、すでにオーブンに火が入り、準備万端でした。
以前ガエターノは、ピッツアの生地をベイキングシートに載せて焼いていたそうですが、せっかく木のオーブンで作るピッツアですから、今は、生地をそのままオーブンに入れて焼いているそうです。オーブンは時々濡れた布で拭きますから、生地の底には何もついてこない、ということです。
ピッツアを食べる前に、ガエターノが作った生ハムとラルドを味見させてもらいました。私とジョン・クロードは普段肉を食べませんが、せっかくガエターノが作ったものです、有り難く頂きました。美味しかったですよ。
いよいよピッツアをオーブンに入れるときです。ガエターノとエディは慣れたもので、ほいほい、と次々に焼いて行きます。
最初は、生地にオリーブオイルをさっとかけ、ローズマリーの葉と塩をパラッと散らしたものを焼いてくれました。それを立ったままオーブンの近くで食べるのですが、それが熱々で、とっても美味しかったのです。
そしていよいよピッツア。ベジタリアンやベーコン入り、ソーセージ入り等、次から次へとオーブンへ入ります。
ピッツアは、トマトソースとトッピングを乗せたらオーブンに入れ、殆ど焼き上がった所で手前に引き出してモッツアレッラチーズを上に散らし、もう一度オーブンにもどしてチーズが溶けるまで焼き上げます。1枚焼き上がるのに1分もかかりませんでした(30秒くらい?!)あっという間でした!
出来上がったピッツアはそれぞれ6切れにして、みんなで分けて、いろんなトッピングを楽しみました。
夏でも簡単で美味しいピッツアですが、冬の寒いときにオーブンの側で食べるピッツアは、あったかい家庭の味がしました。

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左がガエターノ、ピッツア生地をこれから平らにする所。
右が木のオーブン。火種を左に寄せて、ピッツアが右に入っています。

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左、オリーブオイルとローズマリーがかかったもの。15秒ほどで出来上がり。その場で切って、口に入れます。アツアツ。
右、トマトソースをかけて、オニオンを乗せて・・・

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左、奥さんのエディ。
右、オーブンの横に作られた山小屋風の食堂。左に見える白いシーツは、ピッツア生地を囲っていたもの。

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左、ピッツアいろいろ
右、ピッツア・ベジタリアーナ