Kiyomi D.

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サン・ガルガノ大寺院

今日は神秘的な大寺院,サン・ガルガノについて書きましょう。

san galgano Toscana

1100年頃,キュースデイノと言う所(今,これからお話するサン・ガルガノ大寺院が建っている所で,昔はただの森があっただけでした)に、ガルガノという人が住んでいました。

彼は裕福な家に生まれ、そして騎士となったのです。

ある日彼は夢を見て、そして自分自身を宗教に捧げようと,すぐ近くの丘の上にある村モンテシエピに向かいました。そこで毎日お祈りをし、孤独な生活を始めたのです。ある日,ガルガノ騎士は自分が持っている剣を抜いて、側にある岩に突き刺しました。その瞬間,剣がちょうど十字架の形を示し,それ以来、彼は戦争よりお祈りをする人生を選んだのです。

san galgano Toscana

この場所には今,小さな丸い教会が建っており,剣が突き刺さった岩も見る事が出来ます。

彼が亡くなった数十年後,1288年にこの聖地に住む為にやってきた人達、修道僧によって,彼が生まれた地キュースデイノにこの大寺院が建てられました。

しかし、1348年ペストがこの地に流行り,住んでいた人々は仕方なくシエナへと移動して行くことになったのです。

誰も住まなくなった大寺院は少しづつ風化して行き,1781年には屋根が完全に落ちてしまい,壁だけが残ってしまいました。1786年には鐘塔も雷により破壊されました。

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やっと1926年になって,この壁しか残っていない大寺院を保存しようという働きが始まり,補強作業が施されました。勿論今でも屋根はありませんが,それでも音響効果の素晴らしいこの大寺院が残ると言う事は嬉しい事です。ただ、数年前までは大寺院の床は完全に緑の草で覆われていて,それは特別な眺めだったのですが,現在はライトアップの為にコンクリートが敷かれてしまい、少し残念な事です。でも,いろんな飾りや特徴を持った教会や寺院が世界中にありますが,空を天井としている寺院は、ここだけなのです。

私達が見に行ったのは夜の10時頃でしたが,ちょうど三日月が出ており,大寺院がライトに照らし出されて,それは神秘的でした。ちょうどごいっしょしていた日本女性がそこにポンと置いてあるピアノで,素敵な曲を演奏してくださって,草原の中に建っている大寺院の中、その音は三日月の夜空に溶け込んで行き,それはそれは素晴らしい雰囲気を作り出してくれたのです。私達はしばし時間を忘れてしまいました

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