Kiyomi D.

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ルッカ

今日はルッカです。

Lucca, Toscana

ピサから更に車で30分ほど行った所にルッカはあります。

ルッカと表示した道に入り、橋を渡って城壁のあるメイン通りに出た所で、あのどっしりとした赤い城壁が目に入ってきました。高さ12m、長さ4.2km、幅約6~7m、そこに11の堡塁が青々とした木々をつけて張り出し、その周りもグリーンの芝生で敷き詰められて、その堂々とした姿は心を打つものがあります。

この壁は3回ほど作り直されたそうで、最初のものは古代ローマ時代で、このときの壁は今は殆ど残っていません。次が中世12世紀~13世紀の頃で、その後町がだんだんと大きくなり16世紀~17世紀に今の壁が出来たそうです。

Lucca, Toscana

ルッカは、フィレンツエ、シエナ、ピサなどの他の町に比べて戦争が少なく、町の破壊を免れた為、比較的安定した政治が行われ、その為今でも中世のルネッサンス様式の宮殿や建物を沢山見ることが出来ますが、この城壁もその当時のまままったく手を加えられない状態で残っています。

Lucca, Toscana

戦争が少なかった為この偉大な壁が利用される事は余りありませんでしたが、1812年ルッカが大洪水にあったとき、壁の外側にある町は殆ど水に流されたのですが、壁の内側にあった町は扉を閉め切る事により、まったく被害に会わずに住んだそうです。この当時ルッカを治めていたナポレオンの妹エリーザ・ボナパルトが洪水の事を聞き駆けつけたそうですが、門から入ることが出来ず、クレーンで吊り上げられて中へ入れたという話も残っています。

先ず私達が向かったのはナポレオン広場です。市民の為の広場が大きく広がり、中央にはブルボン家のマリー・ルイーズの像が立っています。プラタナスの大きな木が何本もあり、人々がその周りで憩いを取っています。像の前に立っている建物はルッカ県の県庁です。

Lucca, Toscana

次に行って見たのはサン・マルテイーノ広場にある大聖堂です。11世紀から13世紀にかけて作られたロマネスク様式の建物で、ファサードは小さな柱を何本も使った回廊が三層重なっており、時折レースのようとも例えられる程繊細なものです。小さな柱は驚く事に一本一本模様が違います。ここでは左扉の上のニコラ・ピッサーノの作による彫刻を見ておきたいですね。もう一つ有名な教会はサン・ミケーレ・イン・フォロ教会です。ファサードは大聖堂によく似ています。この他にもルッカには沢山の教会があり、どこの角でも見られるほどです。

Lucca, Toscana

さてもう一つルッカを代表する建物があります。建物と言うより広場ですが、1世紀~2世紀にかけてここには古代ローマ劇場がありました。野蛮人の侵略でこなごなに壊された後は、残りの柱や石等はその後新しく作られた教会などに使用されてしまい、その後は旧跡として残っていましたが、1830年になってその広場を利用して出来たのが今のローマン・アンフィテアトレです。3mの高さのあった階段を埋め立て、周りは窓の沢山ある黄色い家々がぐるっとかこんでいます。ルッカの人々がそこに普通に住んでおり、窓には花が飾られ、そして洗濯物も窓の外にたなびいていて、彼らの生活が垣間見られます。下にある可愛らしいお店も旅行者を待っています。

ここルッカにはバロック様式のそれはすばらしい宮殿も沢山残っており、興味のおありの方はきっとため息が出る事でしょう。

それから、もしルッカに行かれる事がありましたら、是非時間をたっぷりと取られて4.2kmある壁の上を歩くなり、自転車で回るなどしてみていただきたいと思います。いつも静かでグリーン一杯の城壁はルッカの人々にとってもいい散歩道になっています。

Lucca, Toscana