Kiyomi D.

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ヒマワリ

さあ、いよいよトスカーナもヒマワリの時期になりましたよ。
真っ赤なポピーは稲刈りと共に消え、蛍もいつしかいなくなり、それに代わって今はヒマワリの黄色い野原が一杯見えるようになりました。どうも今年はヒマワリの畑が多いように感じます。何処を走っても黄色いカーペットがあちらこちらに見えます。

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こちらのヒマワリはかなり小粒で、と言うか背はそんなに高くなく、花も小ぶりです。大きなヒマワリはそれから種を取ったり(食用)、油を作ったりしますが、小さいヒマワリは土地を肥やす為に作られる事が多いのです。ヒマワリを育てて、そのまま枯れるまで置いておき、次の機会に何かを植える時に綺麗に刈ってしまいます。そうするとその土地が肥えており、植えたものが良く育つわけです。
それにしてもヒマワリの黄色い花達のなんて可愛い事。それが延々とどこまでも広がっているのです。「わぁー、綺麗!」と見るたびに私は言ってしまいます。イタリアの田舎に住んでいる事を幸せに感じる時です。

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四季それぞれに色とりどりの花を見る事が出来、小鳥のさえずりで目がさめ、自分の畑で採れた新鮮な野菜をエンジョイする事が出きる、とはなんて幸せな事なんでしょう。
2日前、私は庭に吊るしたハンモックに揺られながら、「イタリア・トスカーナの優雅な食卓」(宮本美智子・文、永沢まこと・絵)の本を読んでいました。これは今年5月にこちらへいらっしゃった幸子さんという方がご自分のコレクションの中から数冊選んで、わざわざ送ってくださった本のうちの1冊なのですが。

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本の内容は過去に外国生活の長かった著者が家族と一緒に大好きなトスカーナの一軒家を借りて約6週間ほど住んだ時のお話です。
彼女(著者)が借りた一軒家はフィレンツェとヴィンチ村の丁度真中辺りの山の中です。そこで経験した事、食べたもの、飲んだものなどを楽しく書いているのですが、読んでいてふっと、「あらっ!私は丁度彼女が書いているような所に住んでいるんじゃないの!」と気がついたわけです。
本から顔を上げ、横を向くと葡萄畑、青い実が沢山なっています。前のほうを見ると大きな畑をトラクターが稲刈りしています。その横の谷にはオリーブの木が沢山植わっています。家の前にはおばあちゃんと一緒に作った菜園があり、ズッキーニ、キューリ、フレンチビーンズ、トマト(もうじき)、茄子、サラダ、バシリコ、イタリアンパセリが沢山実っています。ハンモックに揺られているその庭には、つい最近までホタルが一杯でした。今は沢山のジェラニウムとベゴニアの花達でまぶしいくらい。聞こえるのは蝉の声とスズメの声だけ。私の横には家の黒猫ちゃんが寝っころがっていますし、ラブラドール犬のアクシイもハンモックの中に首を突っ込んできます。主人が黄色く熟れたアンズの実を庭からもぎとってきては、私にくれます。「うわォ、私はこんなに素敵で平和な所に住んでいるんだー!」と嬉しさで胸が一杯になってしまいました。
著者が住んでいたのは、私が住んでいる所よりももっと山奥ですが、でも自然に囲まれている事には代わりありません。

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